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　能登半島の北部の海岸沿いには、斜面に小さな田が連なった千枚田がある。かつてここを訪れた作家の佐藤春夫は、山にはい上がろうとする緑の波濤（はとう）のようだと述べ、こう詠んだ。〈千枚の青田渚になだれ入る〉（『佐藤春夫全集』臨川書店）。

　在能登半岛北部的海岸线、斜坡上众多小田块并列相连，形成千枚田。曾到访此地的作家佐藤春夫描述说，像是正要爬上山头的绿色波涛。还有诗赋道“千枚青田海滨卧，雪崩般此起叠伏”（《佐藤春夫全集》临川书店）。


　青田がなだれ入る渚（なぎさ）から南西の沿岸付近を震源とする大きな地震が、きのう起きた。千枚田のある石川県輪島市や七尾市などでは震度が6強に達し、死者や多くの負傷者が出る惨事となった。

　就在昨天，以青田“雪崩入口”海滨到西南沿岸附近为中心，发生强烈地震。石川县输岛市及七尾市等著有千枚田的地区，强震达6级以上，导致居民死亡及负伤的惨状。


　津波はさほどではなかったようだ。しかし現地からの写真では、家が崩れたり、国道が地割れで裂かれたりしていて、揺れの激しさがうかがえる。

　据说没有引发大规模海啸。但从当地传来的照片，房屋损坏、国道破裂中，不难看出当时摇晃的激烈程度。


　「能登はやさしや土までも」という表現がある。この地方のおだやかな人情と文化、豊かな自然は、日本の原風景にもたとえられる。９９年には春夫が詠んだ千枚田で、駐日外交官と家族らが田植えや稲刈りに挑戦した。

　曾有这样的表述，“能登的温善连土地都会被感染”。当地祥和的人情和文化、丰富的自然景观，甚至可以称作日本的原风景。99年，驻日外交官及其家属们还亲自去春夫歌颂过的千枚田尝试种植及收割。


　だが、地上の営みがどれほど豊かであろうと、どんなに心優しき人々が暮らしていようと、そういうことにはお構いなしにある日突然、大地は揺れる。これが、地震という自然災害の怖さと残酷さだろう。今回はたまたま、日曜日の午前中という経済活動がゆったりした時間帯だったが、地震は時を選ばない。

　但是，无论地面上的生命多么丰富、无论生活着多么善良的人，对这一切都不管不顾的某一天，突然大地开始摇动。这就是地震等所谓自然灾害的恐怖和残酷吧。这次，偶然发生在周日上午经济活动不太频繁的时段，而地震从不会特意选择时间。


　０４年の新潟中越地震で母子３人が乗った車が土砂に埋まり、男の子が救出された現場の県道が開通した。地震で閉ざされていた道がようやく通じる一方、新たな被災地で道が断たれる。地震国の厳しさを象徴しているが、空輸を含む救援の道だけは、断裂も閉鎖もさせないようにしたい。

  在04年的新潟中越地震中，一辆乘载母子3人的汽车被砂土掩埋，县道开通后一名男孩得救。然而，在被地震封锁的道路得以开通的另一面，新受灾地区的道路又被阻断。地震国的形势固然严峻，但希望至少包括空运在内的救援通道，在危险发生时不再断裂或被封锁。