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日の光が部屋に深く入り込むようになった。冬至の昨日は、光が狭い部屋を通り抜け、いつもは仄暗(ほのぐら)い廊下の奥を照らし出した。〈冬至の日しみじみ親し膝に来る 富安風生〉
阳光照到了房间的深处。昨天是冬至,光线透过狭窄的房间,找到了总是黑暗的走廊里面。(冬至的太阳亲切地照耀着膝盖 富安风生)
外に出ると、冬至の日が、弱いなりにも輝いていた。立ち止まり振り返る。足元から背丈の3倍くらいの影が、歩道の敷石に伸びている。黒い形が、本人の年齢や国籍を消し去ってたたずむ。仏系ドイツ人、シャミッソーの『影をなくした男』(岩波文庫)を思い出した。
走到外面,冬天的太阳微弱地散发着光芒。停下来回头看,脚下,自己身高3倍左右的影子一直延伸到人行道的路面上。黑色的形状,消除了本人的年龄和国籍,伫立在那。让人想起了法国籍德人シャミッソー的《没有影子的男人》。
自分の影を売り渡して大金持ちになった男の物語だ。影の代わりに、いくらでも金貨の出てくる金袋を手にしたが、影のない男に世間は冷たかった。悩み、苦しみながら生きてゆく様が面白くも切ない。影の存在感が強まる冬至の頃には、さぞ困ったことだろう。
这是讲一名将自己的卖掉自己的影子成了富翁的男子的故事。代替影子的是手里提的想要多少酒有多少的钱袋。但是对于没有影子的男人,人世间是冷淡的。伴随着烦恼和痛苦的一生有趣而又悲伤。在对影子感觉强烈的冬至时,一定非常困惑吧!
午後に再び街に出ると、太陽は鉛色の雲に隠れていた。誰にも影が無いが、皆平気で仕事に買い物にと駆け回っている。時に木枯らしのような風が立つ。太いイチョウの根元では、金色の葉が渦を巻いている。
下午再次来到街上,太阳隐藏到了铅色的云朵后面。谁都没有影子了,大家都平心静气地为工作和购物奔走着。时而会刮起枯树一样的风。粗壮的银杏树的根部,金色的叶子打着旋儿。
〈声高に冬至の山を出できたり〉。作者は今月亡くなった鈴木六林男さんだ。太平洋戦争中、中国やフィリピンを転戦した。〈遺品あり岩波文庫「阿部一族」〉のような、戦場での人間の姿を鋭く詠んだ。戦前は、無季俳句の拠点「京大俳句」に投句した。そして〈水枕ガバリと寒い海がある〉の西東三鬼に師事する。
“吵闹着去登冬至的山”。作者是这个月故去的铃木六林男。太平洋战争中,曾转战中国和菲律宾。“像遗物岩波文库《阿部以族》一样,”歌咏着战场上的人们的身影。战前,曾向无季俳句的征集点“京大俳句”投稿。而且以“水枕和寒冷的海”的西东三鬼为师。
冬至の日は、5時前には落ちた。六林男選の『西東三鬼集』(朝日文庫)を開く。今時分を思わせる一句があった。〈朝日さす焚火を育て影を育て〉
冬至那天,太阳5点前便落山了。打开了六林男选的《东西三鬼集》(朝日文库)。其中有一句让人想起了此时此刻。“朝阳孕育着火焰,孕育着影子”