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ベルギーに6年いた。仕事場に近い地下鉄の階段はいつも、名物ワッフルの香りがした。バターと蜂蜜とココアが混じる「においの記憶」は、冷たい雨の風景に重なる。着任時の高揚と不安が溶け込んだ雨だ。
在比利时呆了6年,经常在工作地附近的地铁阶梯上闻到当地特产—华夫饼的味道。黄油、蜂蜜、可可混合而成的“味道的记忆”与凉飕飕的雨景重合在一起。这雨也融化了我刚到任时的昂扬与不安。
未体験のにおいの印象は、それをかいだ場面と共に記憶されるという。資生堂の調香部門を率いた中村祥二さんの説だ(『香りの世界をさぐる』朝日選書)。初めてのにおいは一生もので、それぞれが思い出に連なるのだろう。
嗅着未曾体验过的味道,将这种印象也一同留在了记忆中。领导着资生堂香料调合部门的中村祥二先生曾发表过《探索世界的芳香》—朝日選書。一生中初次的味道,将这种回忆各自陈列出来吧。
米シカゴの研究チームが気になる仮説を発表した。身近なにおいをかぎ分けにくくなったらアルツハイマー病の兆しかも、というのだ。レモンやガソリンなど12種のにおいを、平均80歳の約600人に当てさせたところ、的中率が悪い人ほど、後々、認知力が落ちる傾向にあった。
美国芝加哥的一个研究小组发表了一个令人担忧的假设,据说如果难以区分出身边的味道,那可能就是阿尔查默病的预兆了。将柠檬与汽油等12种气味给600个平均年龄80岁的人测试,结果命中率越是低的人,在以后就有认知力低下的倾向。
老化による嗅覚(きゅうかく)の衰えは、本人も周囲も気づきにくいから厄介だ。鼻からの刺激が減ると、老化がまた進む。中村さんは「素人考え」として、においの刺激を繰り返し与えることで老化に対抗できないか、と提案している。
由于衰老导致的嗅觉的衰退,本人和周围都难以察觉的话就很麻烦了。来自于嗅觉的减弱,就会再次增进衰老。中村先生作为“外行人的想法”提案:如果反复给予味觉的刺激那样不是就能够对抗衰老了吗?
人の五感のうち、嗅覚はどうも軽く見られがちだ。多くの情報は目と耳から入る。特に、パソコンや携帯電話を操る現代人は視覚に頼りすぎて、動物に劣る嗅覚がますます鈍ってきたとも聞く。
在人的五感中,嗅觉是很容易被忽视的。多数的情报是通过眼睛和耳朵进入的。特别是使用电脑和手机的现代人由于过分的依赖视觉,听说本就次于动物的嗅觉正慢慢地迟钝起来了。
風邪をひくと食事がまずいのは、舌ではなく鼻の粘膜がやられるためだという。かぐ力が弱まれば、料理の風味ばかりか人生のアルバムまでが色あせかねない。鼻の値打ちは高さにあらず。色んなにおいを通過させ、内側の元気を保ちたい。
得了感冒吃饭就会变的无味,据说那并不是因为舌头,而是由于鼻子粘膜的原因。嗅觉变弱的话,不仅是料理的风味甚至于连纪念册都很有可能会失去色彩。鼻子的价值并非很高,只是让他通过各种气味,来保护内部的元气。