そこに、おばあさんが通(とお) りかかりました。「かわいそうに、怖(こわ) がっているね。でも、変
わった雛(ひよこ) だこと。」
おばあさんはそういうと、醜いあひるの子を抱(だ) き上(あ) げて、家に連れて帰りました。
おばあさんの家には、鶏と猫がいました。
「お前(まえ) 、卵が産(う) めるかい」と鶏が聞きました。
「僕は卵は産めません。」
醜いあひるの子が答えると、猫も聞きました。「喉をごろごろ鳴(な) らせるか?」
「それは無理(むり) です。僕は水の上を泳(およ) いだり、潜(もぐ) ったりすることが、大好(だいす) きなんです。」
醜いあひるの子が答えると、二人はつまらなそうに、向こうへ行ってしまいました。
醜いあひるの子はまた一人で寂(さび) しく遊んでいました。
ふと空を見上(みあ) げると、真(ま) っ白(しろ) い白鳥(はくちょう) たちが美しい姿(すがた) で飛んでいきました。
「ああ、僕もあんなにきれいだったら、誰にもいじめられないのに。」
醜いあひるの子の目から涙(なみだ) がこぼれました。
醜いあひるの子はおばあさんの家を出て、川で暮(く) らすことにしました。
冬になると、冷たい雪が降ります。川も凍(こお) ります。
それでも、醜いあひるの子はじっと我慢(がまん) をして、一人で暮らしていました。やがて、春が来ました。醜いあひるの子は、ふと水に映(うつ) る自分の姿を見て
「あっ。」と声を上(あ) げました。
醜いあひるの子は、春になって、美しい白鳥に変わっていたのです。白鳥たちが近くにやってきました。「なんて美しい羽(はね) なんだ。」
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