楽屋話めいて恐縮だが、書くテーマに悩むときは「その日の歴史」を調べてみたりする。本日は、華岡青洲が通仙散という生薬で全身麻酔に成功し、外科手術を行った日とある。207年前、世界に先駆けての業績であったという。
感觉对大家过意不去说点幕后花絮,每当对所写文章的题目感到困扰时,我就会去查查“历史上的那天”。历史上的今天,华冈青州用名为神仙散中草药成功实施了全身麻醉,并进行了外科手术。207年前,这是领先于世界的成绩。
その「麻酔」と、「世界に先駆けて」で、iPS細胞の山中伸弥・京大教授に連想が飛んだ。現代医療を根っこから変えうる万能細胞を世界に先駆けて作り出した。ノーベル賞の呼び声が高いのは、せんだっての報道でご存じの通りだ。
通过“麻醉”和“领先于世界”,联想到了IPS细胞专家——京都大学教授山中伸弥。他率先在世界上培养出了从根本上改变现代医疗的万能细胞。正如前几天报上说的那样,诺贝尔奖的呼声很高。
「麻酔」の話も山中さんにある。20代のころは腕の悪い整形外科医だったという。普通は10分ほどの手術に1、2時間も要したらしいから、ご謙遜ではあるまい。友人の手術をした時、途中で麻酔が切れかけて「すまん」と謝ったのだそうだ。
山中先生也有关于“麻醉”的故事。20岁时的他,据说是个蹩脚的整形外科医生。普通10分钟的手术,他要花1、2个小时。这并非谦虚。据说有次给朋友做手术时,因为麻醉中途到时间而“道歉”的事情。
そんな挫折をへて研究者に転じた山中さんの軌跡は、仏の文人ラ・ロシュフコーの「箴言(しんげん)」を呼びさます。この人間観察の達人は、神は自然の中に色々な木を植えたように、人の中にも色々な才を配した、と言う。
经历过如此挫折后转型为研究者,山中先生的人生轨迹让人想起了法国文人罗素福的“箴言”。这位观察人类的能人说,就如同神在自然中种植各种各样的树木一般,在人类之中配备各式人才。
続けて〈だから世界一立派な梨の木も、ごくありふれた林檎(りんご)を実らせることはできないし、最も傑出した才能も、ほかのごくありふれた才能と同一の結果を産むことはできない〉(二宮フサ訳)。
接着他说“所以,世界上最完美的梨树也结不出普通的苹果,所以术业有专攻”。(二宫fusa译)
そこで思う。われは本来何の木なりやと。凡庸な林檎さながらの小欄を顧みつつ、別の才もあらん、などと考えてみる。「本日の歴史」から、いつしか自分を励ます空想へ。時に思わぬ所へとコラムの結末は飛んでいく。
人们会想我是哪棵树呢?回顾宛如平凡的苹果树一样的本栏,我也在想难道没有别的才能了吗?从“历史上的今天”不知不觉说到鼓励自己的空想。有时候专栏的结尾会令人意想不到。