(誤)彼はメールで知り合った女性にプロポーズしようとして上京したが、受け入れてもらえず、やるせぬ思いで帰郷した。
(コメント:「やるせない」(文語「やるせなし」)は、「(遣る瀬つまり心を晴らすべき手段が無いということで)つらくせつない」の意を表す。この語は形容詞であり、「子供に先立たれては、親としてさぞやるせなかろう」「失敗続きでやるせなくなる」「やるせない独り暮らし」などと使われる。冒頭例の「やるせぬ思い」は、「やるせない」の「ない」を打消の助動詞と見て同じ用法の「ぬ」に言い換えてしまったものであろうか。「思いを晴らせぬ」との紛れによるものであろうか。「月にやるせぬわが思い」という歌詞もあり、この言い誤りはかなり見られる。「やるせがない」「やるせもない」という言い方は誤りでない。なお、「常用漢字表」には「遣」に「やる」の読みは載っていない。)