(誤)「公職にある者は、業者などから贈り物があっても、決して受け取ってはならない。また、そうした業者は近づけぬことだ」「李下に冠を正すということですね」
(コメント:この言葉は中国の古楽府(こがふ)の一つ「君子行(くんしこう)」に見える。そこに、「学徳の高いりっぱな人物は、物事がまだ起こらないうちに気を配って用心し、他人から疑いを受けるような状況には身を置かないものだ。瓜畑(うりばたけ)では、その実を盗むのではないかという疑いをかけられないように、身をかがめて靴を履きなおしたりせず、李(すもも)の木の下では、手を伸ばして実を盗むのではないかとの疑いを招かないように、曲がった冠を直したりはしない」という話が載っている。そこから、「他人から疑われるようなことは、はじめから避けたほうがよい」というたとえに使われる語となった。「瓜田(かでん)に履(くつ)(=靴)を納(い)れず」でも同意となり、「瓜田の履」「李下の冠」や、四字熟語「瓜田李下」でも同意で使われる。例、「代議士たる者、瓜田李下の疑惑をかけられぬよう、慎重に行動しなければいけない」。冒頭例の「李下に冠を正す~」は、以上のようないわれを知らず、「態度を正す」「誤りを正す」などと同じような感覚で言ってしまったものか。正しくは、「李下に冠を正さず(または、瓜田に履を納れず)ということですね」である。なお、「李」「瓜」は常用漢字でない。)