「あなたのそばにいたいのよ」とスーは答えました。「それに、あんなつたの葉っぱなんか見てほしくないの」
「終わったらすぐに教えてね」とジョンジーは言い、目を閉じ、倒れた像のように白い顔をしてじっと横になりました。「最後の一枚が散るのを見たいの。もう待つのは疲れたし。考えるのにも疲れたし。自分がぎゅっと握り締めていたものすべてを放したいの。そしてひらひらひらっと行きたいのよ。あの哀れで、疲れた木の葉みたいに」
「もうおやすみなさい」とスーは言いました。「ベーアマンさんのところまで行って、年老いた穴倉の隠遁者のモデルをしてもらわなくっちゃいけないの。すぐに戻ってくるわ。戻ってくるまで動いちゃだめよ」
ベーアマン老人はスーたちの下の一階に住んでいる画家でした。六十は越していて、ミケランジェロのモーセのあごひげが、カールしつつ森の神サチュロスの頭から小鬼の体へ垂れ下がっているという風情です。ベーアマンは芸術的には失敗者でした。四十年間、絵筆をふるってきましたが、芸術の女神の衣のすそに触れることすらできませんでした。傑作をものするんだといつも言っていましたが、いまだかつて手をつけたことすらありません。ここ数年間は、ときおり商売や広告に使うへたな絵以外にはまったく何も描いていませんでした。ときどき、プロのモデルを雇うことのできないコロニーの若い画家のためにモデルになり、わずかばかりの稼ぎを得ていたのです。ジンをがぶがぶのみ、これから描く傑作について今でも語るのでした。ジンを飲んでいないときは、ベーアマンは気むずかしい小柄な老人で、誰であれ、軟弱な奴に対してはひどくあざ笑い、自分のことを、階上に住む若き二人の画家を守る特別なマスチフ種の番犬だと思っておりました。
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