超常現象支える細部の現実感 超常现象支持的细节所表现的现实感
この著者の作風は、まことに多彩である。警察小説もあり、スプラッターもあり、青春小説もありと、なんでもござれの才筆の持ち主だ。評者は、この作家の警察小説を評価する一人だが、本書には別の得意わざが仕込まれ、緊密な作品になっている。 本书作者的作品风格真的是非常丰富多彩。既有警察小说,又有猎奇文学,还有青春小说,不愧为一位写什么都才华横溢的主儿。评论员虽曾评价过这位作家的警察小说,但这本书还融合了其它技巧,是一部更加紧凑的作品。
乳児を殺害、みずから110番通報して逮捕され、裁判が進行中の曽根崎という男を、弁護士が訪ねるシーンから、物語が始まる。冒頭の数章で、異常犯罪に関わる正体不明の男や、事件を追う複数の刑事、あるいは独特の雰囲気を持つ女子高生、村川民代などが順次紹介され、ストーリーの行く手が示される。 一名叫曾根崎的男人杀害了婴儿,向110自首后被逮捕,故事从审判过程中律师来访的一幕开始。开头几个章节,依次介绍了不明来历的非常规犯罪男,追查案件的多个刑警、还有有着独特气场的女高中生村川民代等,铺陈揭示着故事的前景。
曽根崎は興信所の所長で、そこへ民代が人探しを依頼しに、やって来る。しかも、民代はのっけから、曽根崎の娘だと主張する。このあたりから、俄然(がぜん)物語が動始める。曽根崎は民代に、別れた恋人と同じ嗜好(しこう)や癖を見いだし、ほんとうに自分の娘かもしれない、と思い始める。そこに秘められた謎が、全体を貫く不気味な通奏低音の、微妙な伏線になっている。 曾根崎是信用调查所的所长,民代为了委托找人才来到这里。而且,民代从一开始就声称自己是曾根崎的女儿。由此故事突然情势急转而下。曾根崎看到民代和自己分手的恋人有着同样的嗜好和习惯,开始觉得她可能真的是自己的女儿。但隐藏着的秘密却是令人毛骨悚然的通奏低音,贯穿始终,设下了微妙的伏笔。
本書は、むずかしくいえば遺伝医学的な現象、簡単に言ってしまえば、オカルト的現象をテーマにするものだが、その種明かしは控えておく。そうした、超常現象以外のディテールが、現実感豊かに書き込まれているため、なんの抵抗もなく読める。多視点で描かれているものの、基 本的には曽根崎を中核に据えた、私立探偵小説といってよかろう。キャラクターの一人ひとりが、行間から立ち上がる存在感を持ち、この小説を支える骨格をなす。ことに、曽根崎の事務所の下にあるスナックの店主、吾郎と美冴(みさえ)の兄妹がいい。曽根崎を慕う美冴には、ある意味で暗さに満ちたこの小説に、救いの一灯を添えるいじらしさがある。 本书深奥点来说是遗传医学现象,简单来说就是以超自然现象为主题,却控制着没有把事情的缘由明朗化。然而,超常现象以外的细节部分,却充盈着现实感,让人毫无抵触去阅读。虽是从多个视角来描写的,但基本是以曾根崎为中心的私立侦探小说吧。不同性格的每一个人,从字里行间显示出存在感,成为支撑这则小说的骨架。尤其是曾根崎事务所旗下的小吃店店主,吾郎和美冴兄妹俩非常不错。仰慕曾根崎的美冴,从另一个意义来说,仿佛在满是阴暗的小说中,增添了一盏救赎的孔明灯,显得那么楚楚可怜、惹人疼爱。
プロローグから、途中である程度結末が予測できるのは惜しいが、読後に独特の余韻を残す佳作である。 从序幕开始,读到中途即能预测大概结局这一点有点可惜,但仍不失为读后能留下独特余韵的佳作。