(誤)ようやく完成の見込みが立ったこの研究を、都合(つごう)をつけようとすればなんとかなりそうな資金を惜(お)しんで中止にしてしまうとは、九仞の功を一気に欠くようなものだ。
(コメント:「九仞の功を一簣に虧く」が正しい。この言葉は、「山を作るのに、九仞の高さになっても、最後の一もっこ(「簣」は「土を運ぶもっこ」のこと)をやめれば、仕事が完成したとは言えない」というのが原義。(「九仞」は「非常に高いさま」の形容。一仞は、一説に七尺。)そこから、「長い間の努力が実ってほとんど成功しかけた物事が、最後のちょっとしたことが原因で台なしになる」の意を表す。「いっき」は、「一気飲み」「一気に仕事を仕上げる」などの「一気」ではない。なお、「千尋(仞)の谷」との紛れによるものか、「千仞の功を一簣に欠く」と言い誤る人もいるようである。(「虧く」と「欠く」は通用する。)「仞。簣。虧」は常用漢字表にない字。)