(3)標題別
「注文書」「見積書」「報告書」のように帳票化した文書。
(4)一件別
1つの案件(プロジェクト、工事、訴訟など)の始めから終わりまでを1つのファイルにまとめる方法。
(5)形式別
以上の4つのまとめ方のほかに、「稟議書」「慶弔状」のように、形式でまとめるとよい場合もある。
いずれにしても、よいファイリングをするには、以下のことが大切。
(1)一緒に使うことが多い文書は同じフォルダーに。
(2)一緒に使うことが多いフォルダーはなるべく近くに。
(3)捜しやすくするために、フォルダーの中身は少なく。
(4)見出し類(「ガイド」「山」等)の有効利用。
しかし、例えば(1)と(3)は相反関係.結論としては、「分厚くするより、薄くするのを優先」がプロからのアドバイスです。
さて、課員の知恵をしぼって、分類の仕方や並べ方が決まったら、キャビネットの「本年度用」の段に収納.「配列表」を作り、一番前に置いて並べ方の決まりとします。昨年度の分も同様に処理し、キャビネットの「昨年度用」の段に収納します。どうしても不便な点があれば柔軟に改善していきます。
来年度になれば、「本年度用」の段に入っているフォルダーは、不要文書を廃棄したうえで、「昨年度用」の段に移されます。これを「移し替え」といいます。
押し出された一昨年度の文書は、不要文書廃棄の手順を経て、保存の必要があるもののみ、事務所外に「置き替え(“引き継ぎ”と呼ぶ会社もある)」し、「保存」されます。年に一度、日を決めて、文書課が音頭をとり、「移し替え置き替え」をするとよいでしょう。
これで、個人が私有しているファイルはなくなり、課が管理するものとなりました。古い、不要の文書も事務所から一掃されました。しかし、「これで出来上がり」とはいきません。事務所外への「置き替え保存」の方法や文書廃棄の基準は、どうするのか。文書の貸し出しはどう管理するのか。「仕掛かり文書」をどう管理するのか、等々。システムを完成させ、維持管理していくための重要な仕事が残っています。
「システムの完成と維持管理」
1.保存と廃棄
いくら事務所が快適になっても、「押し出された文書が倉庫に山積み」ではシステムが完成されたとは言えません。捨てる技術が必要です。
保存年限は、
(1)歴史的な価値の大きさ
(2)実務にとっての必要性
(3)再生の困難度
(4)スペース
(5)法的な制約、等によって決まるとされていますが、
(5)以外は具体的な基準にはなりません。
これが「捨てられない」原因となっています。結論からいえば、文書の種類によって保存年限を「制度として」決めてしまうこと。難しいことですが、いったん決まれば、だれでも悩まずに捨てられるようになります。「いつか必要になるかもしれない。」とためこんでも、保存管理が不十分で見つからないとしたら、ないのも同じ。割り切りも必要です。
保存年限の決定は重要な意味を持つので、文書の種類ごとに慎重に検討を。保存年限決定の目安については、専門書を参照してください。
また、保存年限はフォルダーごとにあらかじめ決めておきます。そして事務所外への「置き替え」のときに、フォルダーごとに保存年限別(3年、5年10年、永久など)の箱に入れて保存します。こうすると、「置き替え」の作業が簡単になり、そのうえ期限が来たときにだれでも箱ごと捨てられます。
2.貸出制度の徹底と「仕掛かり文書」の管理
課の外への貸出には、貸出カードの使用を制度化します。ファイリング係がときどきチェックし、期限切れのものは督促します。
「仕掛かり文書」とは、本当に書きかけの文書のこと。これを各自の机のひきだしに入れるのを許すと、私物化が始まります。担当者の名前が入った「やりかけファイル」に入れ、終業時に一定の場所に保管するようにします。なお「使っている文書」は当然キャビネットに返してから帰ります。
3.管理維持の重要性
システムを維持していくには、専任のファイリング係を養成していくのが望ましい。忙しい業務の片手間に「暇なときにチェックしよう」というのではすぐ元に戻ってしまう可能性が強い。また、適切な制度化標準化マニュアル化もシステム維持のポイントです。
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