「これを、お殿(との) 様に売ってきてください。」 お殿様は高いお金で布を買ってくれました。 それから言いました。 「もう一枚(いちまい) 持って来い。もっと高いお金で買ってやろう。」 「それは、うちのお嫁さんと相談(そうだん) しないと約束(やくそく) できません。」 家禄はそう言ったのですが、わがままな殿様はどうしても約束しろと言います。 家禄はしかたなく、「ではもう一枚だけ。」と、約束しました。 家に戻ると、家禄はもう一度布を織ってほしいと頼(たの) みました。 「わかりました。今度は七日で織ります。その間、決して覗(のぞ) かないでくださいね。」 お嫁さんは、また屏風の中に入りました。トンカラカラカラカラトン毎日、機を織る音がします。 でも、家禄はだんだん心配(しんぱい) になってきました。 「何も食べないで、いったいどうしているんだろう。ほんのちょっとだけ見てみようか。」 屏風の中を覗いた家禄は、「おおっ、これは。」と、声をあげました。 屏風の中で、もう毛(け) がほとんどなくなった鶴が自分の羽(はね) を抜(ぬ) いて、布を織っていたの です。 家禄を見て、鶴が言いました。 「わたしは、あなたに助けられたあの鶴です。でも、姿を見られたのでもう帰らなくて はなりません。ちょうど布は出来上がりました。これを殿様に売ってください。」 鶴は、それからじっと空を見ていました。 やがて、千羽(せんば) もの鶴が飛んできて、裸(はだか) の鶴を囲みました。 「行かないでくれーっ。」 家禄は叫びましたが、鶴たちは裸の鶴を連れて、空のかなたへ飛び去っていきました。 じょおうさま あの鶴は、鶴たちの女王様だったということです。 |
中日双语:世界著名童话欣赏—仙鹤报恩
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