赤頭巾ちゃん
(グリム童話)
赤頭巾ちゃんは、可愛(かわい)い女の子です。
ある日のこと。
お母さんが、赤頭巾ちゃんに言いました。
「おばあさんにお菓子(かし)と葡萄酒(ぶどうしゅ)を届(とど)けておくれ。寄(よ)り道(みち)をしてはいけませんよ。」
「わかったわ。」と、赤頭巾ちゃんは言いました。
おばあさんは森の奥(おく)に住んでいます。
森の入口(いりぐち)に着いたとき、狼が出てきました。
「赤頭巾ちゃん、おばあさんの所(ところ)に行くんだろう。それなら、花を摘(つ)んで行きなよ。」
「それはいい考えね。」
森には、たくさんの花が咲いていました。
赤頭巾ちゃんが、寄り道をして花を摘んでいる間(あいだ)に、狼はおばあさんの所に行きました。
そして、おばあさんをぺろりと飲み込んで、ベッドに潜(もぐ)り込(こ)みました。
今度(こんど)は、赤頭巾ちゃんを呑(の)もうというのです。
赤頭巾ちゃんが、おばあさんの家に着きました。
おばあさんはベッドに寝ていました。
「おばあさんの耳は大きいのね。」
「お前(まえ)の声を聞くためさ。」
「目も大きいのね。」
「お前をよく見るためさ。」
「どうして口がそんなに大きいの。」
「それはお前を食べるためさ。」
狼はそういうと、赤頭巾ちゃんに飛びかかって、ぺろりと飲み込んでしまいました。
その時、一人の猟師(りょうし)が通りかかりました。
庭(にわ)で、狼がぐっすりと眠(ねむ)っています。
「おばあさんを食べたな。」
猟師はそういうと、狼のお腹(なか)をはさみで切(き)りました。
すると、まず赤頭巾ちゃんが出てきました。
続(つづ)いておばあさんも這(は)い出(だ)してきました。
狼のお腹には、石を詰(つ)めました。
狼は目がさめると、傍(そば)に猟師がいるので、慌(あわ)てて逃げ出しました。
でも、お腹に石が入っているので、間もなくどさりと倒(たお)れて死んでしまいました。
赤頭巾ちゃんは、おばあさんに言いました。
「もう森で寄り道はしないわ。狼に食べられちゃうものね。」
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