狼と七匹の子山羊
(グリム童話)
昔、お母さん山羊(やぎ)と七匹の小山羊(こやぎ)がいました。
ある時、お母さんが出かけることになりました。
「いいかい、狼には気をつけるんだよ。狼はがらがら声で、足は真(ま)っ黒(くろ)。だからすぐ分かるからね。」
お母さんは小山羊たちにそう注意(ちゅうい)して出かけました。
間もなく、狼がやってきて、呼び掛けました。
「お母さんだよ。今帰ったよ。ドアを開(あ)けておくれ。」
「いやだよ。」と小山羊たちは答えました。
「おまえの声はがらがら声だ。お母さんの声は、もっともっときれいだよ。おまえは狼だろう。」
「分かってしまったか。」狼は悔(くや)しそうにそう言って、帰っていきました。
狼は、チョークを食べて戻ってきました。
チョークを食べると、声がきれいになるのです。
「お母さんだよ。お土産(みやげ)がたくさんあるよ。ここをお開(あ)け。」
「足を見せて。」と、小山羊たちは言いました。
狼は窓(まど)から足を見せました。
「真っ黒な足は狼の足。ドアは開けないよ。」
小山羊たちが叫(さけ)びました。
狼は慌(あわ)てて粉(こな)屋(や)に行って、足に白い粉を塗(ぬ)って戻(もど)ってきました。
白い足を見て、小山羊たちは喜(よろこ)んでドアを開けました
あっという間(ま)に狼が部屋に飛び込んできて、次々(つぎつぎ)に小山羊たちを呑(の)み込(こ)んでしまいました。
たった一匹、大きな時計(とけい)の中に隠(かく)れたちびっ小山羊だけは、助(たす)かりました。
お母さん山羊が家に戻ってみると、小山羊たちがいません。
名前(なまえ)を呼(よ)んでも、だれも返事(へんじ)をしません。
たった一匹、「僕(ぼく)はここだよ。」と言って、ちびっ小山羊が時計の中から出てきました。
そとに出てみると、狼がお腹(なか)を膨(ふく)らませて、ぐーぐー 眠(ねむ)っていました。
お母さん山羊は、鋏(はさみ)で狼のお腹をちょきちょきと切(き)りました。
すると、六匹の小山羊が元気(げんき)よく飛(と)び出(だ)してきました。
「石(いし)を集(あつ)めておいで。」
お母さん山羊は小山羊たちに言いました。そして、狼のお腹に石を詰(つ)めました。
やがて、狼は目を覚(さ)ますと、「ああ、喉(のど)が渇(かわ)いた。」と言って、井戸(いど)に行きました。
でも、お腹の石が重(おも)いので、狼は井戸の中にどぼんと入(はい)り、そのままぶくぶくと沈(しず)んでいきました。
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