詩人の吉野弘さんに「星」という作品がある。部分の引用をお許し願う。〈有能であるよりほかに/ありようのない/サラリーマンの一人は/職場で/心を/無用な心を/昼の星のようにかくして/一日を耐える〉。
诗人吉野弘有一首名为《星》的作品。请允许我引用一部分。“有才能的除外,默默无闻的一个打工族,在公司,把自己的心,一颗无用的心,如同白昼的星星一样隐藏起来,忍受着度过一日”。
勤め人も管理職となれば、日々「無用な心」との格闘である。修羅場を任されての消耗、いかばかりか。東電福島第一原発の所長だった吉田昌郎(まさお)さん(56)が入院した。定期健診で病気が見つかったという。
员工一旦成为担任管理职业,每天的工作就是与“无用的心”相搏斗。寄生战场的损耗,究竟是何滋味呢?东京电力福岛第一核电站所长吉田昌郎先生(56岁)住院了。据说是在定期检查时发现了病情。
最悪の事故を前に、彼は会社の利害を超えたものを背負わされた。部下を含む万単位の命だ。一民間人には重すぎるが、逃げ場はない。圧巻は震災翌日、本社の命令に逆らい原子炉への海水注入を続けたことだろう。
面对最严重的事故,他被迫背负着超越公司利害的东西。这就是包括手下在内的数万生命。对他这一平民而言,过于沉重且无法逃避。最让人动容的是在地震后第二天,违背总公司的命令,继续向原子炉注入海水。
この判断によって、頼れる指揮官の名声は高まった。それでも、安全対策の穴を放置した責任は免れない。それゆえの砕身ならば、英雄視は迷惑だったかもしれない。社内評、身の安全、家族の心痛。あまたの「無用」を昼の星にして、耐えに耐えての離脱である。
因为其判断,值得信赖的指挥这一名声水涨船高。即便这样,放任安全对策漏洞的责任仍不能免。要是因为这样而要求其负责的话,视其为英雄的人或许会感到迷惑。公司内部评论人身安全以及家人心痛。把诸多的“无用”当做白天的星星,这是忍之又忍之后的解脱。
原発事故はいや応なく、サラリーマンを最前線に押しやる。現場を支える社員、関連企業や下請けの作業員も、それぞれ何かを捨てていよう。そんな一線への後ろめたさもなく、自己弁護を並べた東電の中間報告に、会社組織の厚顔を見る。
因为核电站事故,不得不把员工推到第一线。支援现场的职员、相关企业以及承包的操作员,想必每一位都舍弃了一些东西吧。在东京电力的中间报告里,尽是些自我辩护的东西,没有一丝对一线情况的内疚,可见公司组织的厚颜无耻。
吉田さんの不調は被曝(ひばく)とは無関係というが、極限のストレスと無縁ではあるまい。快復をお祈りしつつ、遠からず指揮する立場に戻られることを願う。ここまでの闘いを妙な美談にしないためにも。
虽然吉田先生身体不适和辐射没有关系,但并不能说和极限的精神压力无关。在祈祷其赶快康复的同时,也希望在不久的将来回到指挥的岗位上去。即便不是为了把至今为止的奋斗变成奇怪的美谈……。