▼初舞台から40代まで名乗った勘九郎は長男に譲った。孫を加えた三代での共演を夢見て、来春の歌舞伎座こけら落としを心待ちにしていたという。十八代目の襲名にあたり「勘と嗅覚(きゅうかく)、あとは運」と語っていたが、最後の一つがままならなかった。
他将从初次登台演出到40多岁时一直使用的艺名勘九郎让给了他的长子。他梦想着祖孙三代能同台演出,热切地期待明年春天在歌舞伎座剧场的首演。在当年承袭第十八代艺名的时候,他曾说,“除了悟性和嗅觉,运气也很重要”。可惜最后的愿望却未能如愿。
▼この日の東京は朝から日本晴れ。勘三郎さんが完成を待ちわびたその小屋も、同じ思いで中村屋の復帰を念じていたに違いない。仕上げに入った唐破風(からはふ)の屋根が、青藤(あおふじ)色の工事用シートから透ける。人目をはばかり、泣いているように見えた。
这一天的东京,从早上还是就万里无云。勘三郎急切等待着竣工的小剧场也一定怀着同样的心情盼望中村戏班的回归。透过青藤色的施工防护罩已经可以看到即将完工的卷棚式博风的屋顶了。它们看起来像是怕被人看到似的偷偷地哭泣。
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