すっかり冬になってしまえば腹も据(す)わるのだが、冬にさしかかる時期はどこか、太陽が遠くなった心細さがある。日ごとに寒く、夕暮れは早い。紅葉(もみじ)のあとの山野はすがれて、時雨(しぐれ)が通れば趣よりも寂しさがまさる
▼冬の入り口は土地土地で違う。駆け出し記者時代に暮らした北陸は、鉛色の空から降る冷雨に雪がまじった。「いっそ早く真冬になってほしい」と仲間うちでぼやき合ったものだ。片や東京は、乾いた空から吹く季節風が、ビルの谷間でひゅうと鳴る
▼每个地方的入冬景象都会不同。在初为记者的年代,我生活在北陆,掺杂着雪花的冷雨从那里铅色的天空降落到大地。同事们相互嘟囔着说,“真希望赶快进入隆冬。”而在东京,干燥的上空中吹来季风,发出“呼呼”的声音穿梭于峽谷般的高楼群中。
▼その木枯らしに急(せ)かされるように、木々はいま落葉がしきりだ。風に散って舗道を這(は)う光景には落魄(らくはく)のイメージが重なる。しかしよく見ると、裸になったコブシなど、ビロードに包まれたような花芽をおびただしく光らせている
▼宛如被寒风催促一般,树木当前叶落纷纷。叶子在风中散落,铺满道路,此光景与一幅落魄的图景叠加一致。然而仔细观看会发现,在裸露的辛夷等树上,仿佛包裹在天鹅绒中的无数花芽正闪烁着光。
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