人物:母親(40代後半)
息子(高校生)
場面:夕方、母親が旅行から帰ってきて
母:ただいまあ。あ、健ちゃん、帰ってたの?
子:ずいぶん遅いじゃない。晩ご飯どうするの?
母:駅弁買ってきたから、今日はこれにしといて。あ、それからおみやげいろいろ買ってきたから。
子:またかよ。「名物にうまいもの無し」なんだから、あんまり買うなって父親にも言われてるだろ。
母:だって、ママ、これが楽しみで旅行行くんだから。ほら、このお饅頭、おいしそうでしょ?
子:そこらのと同じに見えるけど。
母:まあ、食べてごらんなさいよ。旅館で出たんだけど、すっかり気に入っちゃって買ったのよ。今お茶入れるから。
子:(一口食べて)あっ、これツブアンだ。おれツブアン嫌いなの知ってるだろ。
こしあんしか食べないのに、それにこれ柚子のにおいがする。
柚子も苦手なんだよ、おれ。
母:あら、そうだった?じゃこの漬物はどう?
子:おれ、タクアンみたいなの嫌いなんだよ、くさくてさ。
母:あんた好き嫌いが多すぎるわよ。
子:いい加減に子供の好き覚えろよ。
母:あとは、塩辛と、クサヤと、うぐか買ってきた。
子:おれ食べわないからね。
母:こいうおいしいものの味が分かんないんだから。
子:わかんなくて桔構。駅弁だけじゃもの足りないから、駅前のファミリーレストラン行って食べってくるよ。