日仏のソフト会社が共同で、3次元データを圧縮して伝送する技術とデータ形式を開発することになった。ツール間で3次元データを容易に受け渡せるようにする。トヨタ自動車が両社を支援、関係各社はそのデータ形式を世界的な業界標準、すなわち3次元データの標準XMLにすることを狙っている。
この日仏ソフト会社は、3次元グラフィックス関連ソフト開発会社のラティス・テクノロジー(東京・千代田区)と、CAD関連ソフト・メーカー大手の仏ダッソー・システムズ。ダッソーは8日、ラティスの3次元データ軽量化技術「XVL」を利用し、ダッソーの各種ツール間で軽量の3次元データを伝送できるようにすると発表した。
これが実現すれば設計、生産、販売、保守の各局面で3次元データを再利用しやすくなる。例えば、3次元CADツールで設計した車体の部品データを仮想的な組み立て検証ツール(デジタル・モックアップ・ツール)に渡して不具合個所を見つけ修整。さらに組み立て指示書や部品データベース、取扱説明書、マーケティング資料などにも3次元データを流用しやすくなる。このようにして製品の一元管理を行うPLM (プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)を容易にすることをダッソーは狙っている。
3次元データの圧縮技術を開発したラティスの鳥谷浩志代表取締役社長は「標準的なデータ形式となるように開発を進める」と意気込む。
ダッソーは3次元CADや製品データ管理ツールの大手ベンダー。同社の3次元CADツール「CATIA」はトヨタ自動車や仏ルノーなどの大手自動車メーカーが利用している。一方1997年設立のラティスには、1999年にトヨタ自動車が出資、その後しばらくしてからトヨタ自動車内でラティスの技術を利用し始めた。
トヨタ自動車の天野吉和常務役員は、ラティスとダッソーの提携によって、「有力な3次元データ交換の標準が確立することになるだろう。トヨタ自動車とサプライヤ、顧客企業などとのコラボレーションにとって好ましいことだ」と述べている。 |