次の文章を読んで、それぞれの問いに対する答えとして最も適当なものを1・2・3・4か
ら一つえらびなさい。
(1)
野口英世(1876~1928)は、黄熱病の研究で有名な学者である。苦労して医学の勉強をしたが、有名な大学を出ていなかったため、当時の日本ではいい仕事が得られなかった。そこで、彼は可能性を求めてアメリカに留学した。アメリカでは研究が認められ、博士号を受け、ロックフェラー医学研究所の研究員になることができた。野口英世は日本で生まれて育ったが、彼を一流の研究者に育てたのは、自由なアメリカの医学界である。日本人は野口英世を日本の医学者と考えているが、アメリカ人は彼をアメリカの医学者と考えている。
問い上の文章の内容と合っているものはどれか。
1野口英世は招かれてアメリカに留学した。
2野口英世はアメリカで医学の勉強を始めた。
3野口英世はアメリカで一流の研究者になった。
4野口英世はアメリカでは日本の医学者と考えられている。
(2)
10年前のことですが、そのころ小学校1年生だった娘が帰宅し、おやつを食べながら「私のお母さんって何もしていない人でしょう」と可愛い口元を動かしながら言いました。社会の「働く人々」という単元で、親の仕事について勉強したらしいのです。ショックでした。結婚以来、体力的に家庭と仕事の両立は難しいと思い、ずっと専業主婦として家を守ってきたのに、幼い娘にとって主婦という立場は「働く人々」の中には入れてもらえなかったのです。
問い「ショック」だったのは、なぜか。
1娘が成長したことに初めて気がついたから
2娘にとって筆者は「働く人々」には入らないから
3小学校では間違ったことを教えていると考えたから
4自分が仕事をした経験がないことにきがついたから
(3)
休むというのはどういうことであるか、それがよくわからない。よくわからないからうまく休めないのかという気もするのだが、このあいだも、ある仕事が一っ切りついて、普通ならさあ一休みと言うところだが、例によってどう休んでいいかわからない。手当たり次第に本や雑誌を読んでいるうちに一日が経ってしまって、そして休んだと言う満足感どころか、なにやら無駄をしたというむなしい気持ちが残るばかり。いつもこういうふうである。
問い「こういうふう」とは、どういうふうなのか。
1いろいろな本や雑誌を読んで満足感を味わう
2休むと言うことはどういうことかを調べる
3休み方がわからず、一日を無駄にした気がする
4一つの仕事を終えると、すぐに次の仕事を探し始める
(4)
ところで、保険とはなんでしょうか。人は事故や病気で、いつ死ぬかもしれません。(中略)こういう不幸は、偶然で、起こるかもしれないし、起こらずにすむかもしれません。ただ、不幸にあう人は、非常に少ないことはたしかです。「不幸にあうかもしれない」と思う人がたくさん集まって、1その時にそなえて、少しずつお金を出しあえば、大きな額になります。「ちりも積もれば山となる」です。その大部分の人は不幸にあわずにすみますから、不幸にあったわずかな人は、ほかの人たちが払ってきたまとまったお金をもらえる、というのが2保険の基本的な考え方です。
問1①「その時」とは、たとえばどんなときか。
1保険に入った時
2人がたくさん集まった時
3お金が大きな額になったとき
4火事や病気になったりしたとき
問2②「保険の基本的な考え方」に含まれるものはどれか。
1事故で死んだり、家が火事になったりする人は少ない
2みんなで少しずつお金をだし合えば、不幸にあわない
3自分が死んだ後のことを心配しても仕方がない
4自分が不幸にあう心配をする人はあまりない
正解
(1)-3 (2)-2 (3)-3 (4)問1-4 問2-1
次の文章を読んで、後の問に答えなさい。答えは、1・2・3・4から最も適当なものを一
つ選びなさい。
この文章は、取材(記事などを書くために、人から話しを聞くこと)について書かれたものです。
最も大切なことは、自分がその相手から聞くべきことを知っておくことである。これはあまりにも当たり前の事で、人に話しを聞こうとする場合の当然の前提だから、とりたてて注意を払うべきことではないと思われるかもしれない。しかし、私に言わせれば、これ以上に本質的に大切なことは何もなく、あとは大部分が瑣末なテクニック論である。
「問題を正しくたてられたら、答えを半分見出したも同然」
とよくいわれる。これはまったく(①)。同様に、聞き取りに際しても、聞くべきことはわかっていれば、半分聞き出したも同然なのである。
最近私は、人に取材するばかりでなく、人から取材されることも結構多くなった。2それでわかったことは、自分で何を聞くべきかが充分わかっていないで人にものを聞く人間がいかに多いかである。
「いかがですか?」
「ご感想をちょっと・・・・・・」
と水を向けるだけで、相手が何かまとまりのあることを当然にしゃべってくれるものだと思い込んでいるおめでたいジャーナリストがあまりにも多いのだ。まるで3こちらがラジオかテレビのような機械で、「きっかけの一言」というスイッチを入れると、あとは自動的に番組が流れ出てくるものとでも思っているかのようだ。
こういう人がおおくなったのも、4テレビの悪影響だろうと思う。テレビのインタビューというと、実際、一言水を向けるだけで、べらべらまくしたてる人が大部分なのだ。世の中にはしゃべりたがりの人が多いのも事実だが、テレビの場合は、編集をしたり、事前の打ち合わせをしたりしているから、しゃべりたがりでない人もしゃべりたがりのように見えてしまう。私にしても、ほんとは非常に無口の人間なのだが、テレビを通してしか知らない人はよくしゃべる男と思っていることだろん。
そう思い込んでいるひとがジャーナリストの中にもいて、そういう人が私を電話取材すると5妙なことになる。
「〇〇について、ちょっとご感想をうかがいたいんですが」
「はい」
といったまま私は黙っている。先方は、それだけで当然私がしゃべりだすのだろんと思って、やはり黙って待っている。しばらく奇妙な沈黙がつづく。やがて、先方がどうもスイッチがちゃんと入っていないらしいと考えたのか、6もう一度スイッチを入れ直す。
「〇〇について、ちょっと感想をうかがいたいんですが」
「はい。どうぞ」
と私は答える。「どうぞ」といわれてはじめて先方は、水をむけただけでは足りなくて、なにか質問をしなければいけないのだということに気がつく。(中略)
安易な問い方をし、それに安易に答え、その安易な答えに満足して問答を終わるという最近のテレビ・インタビュー的風潮に私は反発しているので、いいかげんな質問者にはわざと意地悪く質問を返し続けることがよくある。はじめの問いがいいかげんでも、自分の中に問うべきものをしっかり持っている人は、質問をかえされたとき すぐにきちんとした質問で切り返すことができるものである。しかし、それを持たない人はまともな質問がついにできない。
注1瑣末な:重要でない
注2水を向ける:相手が話し始めるようにすること
問1(①)に入ることばとして適当なものは何か。
1不思議である
2おかしい
3ただしい
4同じである
問2②「それで」を別の表現で言うと、この場合、次のどれが近いか。
1人に取材して
2人に取材されて
3人に取材できて
4人に取材させて
問3③「こちら」とは何を指しているか。
1筆者
2読者
3しゃべりたがりの人
4おめでたいジャーナリスト
問4④「テレビの悪影響」とは、この場合どんなことか。
1みんながよく話すようになったこと
2無口の人がいなくなってしまったこと
3人はみんなおしゃべりだと思う人が増えたこと
4テレビのインタビューに出たがる人が多くなったこと
問5⑤「妙なことになる」のは、なぜか。
1質問に興味がないから
2質問が聞き取れないから
3質問がはっきりしていないから
4質問の内容が気に入らないか
問6⑥「もう一度スイッチを入れ直す」とは、この場合、何をすることか。
1電話をかけなおす
2同じことを繰り返して言う
3丁寧な言い方に変える
4テレビのスイッチをもう一度入れる
問7この文章で筆者がもっとも言いたいと考えられることは何か。
1取材されるときは、相手の質問内容をよく確かめるべきである
2取材されるときは、なるべく自分の意見をはっきり言うほうがいい
3取材するときは、相手の都合をよく調べてからしなければならない
4取材するときは、聞きたいことをよく考えておくことが大切である。
正解
問1-3 問2-2 問3-1 問4-3 問5-3 問6-2 問7-4