大入道と仕立て屋
昔々(むかしむかし)、歩(ある)くたびに、ドスーンと、ドスーンと、地面(じめん)が揺(ゆ)れる、とても大(おお)きな大入道(おおにゅうどう)がいました。
あまりにも大(おお)きいので、頭(あたま)はいつも雲(くも)の中(なか)に隠(かく)れてしまいます。
ある日(ひ)、大入道(おおにゅうどう)は言(い)いました。
「暇(ひま)だなあ。人間(にんげん)を捕(つか)まえてこよう。」
ドスーン、ドスーンと大入道(おおにゅうどう)が森(もり)を歩(ある)いていると、一人(ひとり)の男(おとこ)が、山道(やまみち)でキョロキョロしています。
大入道(おおにゅうどう)が尋(たず)ねました。
「おい。おまえは誰(だれ)だ?」
「はい、町(まち)の仕立(した)て屋(や)でございます。」
「何(なに)しに来(き)た?」
「はい。山(やま)の中(なか)に、いい仕事(しごと)でもないかと探(さが)しに来(き)ました。」
「では、おれのうちへ来(き)て働(はたら)かないか?」
「それはいいですが、お礼(れい)に何(なに)をくれますか?」
「持(も)ちきれないほど、金貨(きんか)をやろう。」
仕立(した)て屋(や)さんは、大入道(おおにゅうどう)の家(いえ)へ行(い)くことに決(き)めました。
そして金貨(きんか)をもらって、速(はや)く逃(に)げ出(だ)そうと考(かんが)えました。
二人(ふたり)は、大入道(おおにゅうどう)の家(いえ)に着(つ)きました。
「おい、チビ。水(みず)を桶(おけ)に汲(く)んでこい。」
「桶(おけ)にですか?なぜ、井戸(いど)ごと持(も)ってこいと、言(い)わないのですか?」
「なんだと、井戸(いど)ごとだって?」
大入道(おおにゅうどう)は驚(おどろ)きました。
仕立(した)て屋(や)さんは、こんな大(おお)きなことを言(い)って、水汲(みずく)みに出掛(でか)けました。
もちろん、桶(おけ)にです。
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