三匹の熊
(イギリス民話)
森に三匹の熊が住んでいました。大熊(おおぐま)と中熊(なかぐま)とちび熊です。ある日、三匹は森の奥(おく)に散歩(さんぽ)に行(い)きました。すると、小(ちい)さな女の子がやって来(き)て、勝手(かって)に熊たちの小屋(こや)に入りました。
女の子はテーブルの上に、麦(むぎ)のお粥(かゆ)がのっていたので、喜(よろこ)んでいただくことにしました。最初大熊のお粥を一口(ひとくち)食べました。「熱(あつ)すぎるわ。」次(つぎ)に中熊のお粥です。「これは冷(つめ)たすぎる。」最後(さいご)にちび熊のお粥です。これはちょうどよかったので、全部食べてしまいました。
次に大熊の椅子に座りました。「これは硬(かた)すぎる。」中熊の椅子は柔(やわ)らかすぎました。そこでちび熊の椅子(いす)に座ると、ぴったりです。でも余り長く座っていたので、そこが抜(ぬ)けました。
女の子は二階に上がって、大熊のベッドに潜(もぐ)り込(こ)みました。「これは頭(あたま)が高すぎる。」
中熊のベッドは、足(あし)のほうは高すぎます。ちび熊のベッドは体にぴったりです。女の子はいい気持ちになって、眠(ねむ)ってしまいました。
やがて、三匹の熊が戻(もど)ってきました。大熊が吼(ほ)えました。「誰か、おれのお粥(かゆ)を食(く)ったな。」中熊も言いました。「誰か、私のお粥(かゆ)に触(さわ)ったね。」ちび熊が、小さい声(こえ)で言いました。「僕のお粥が無くなった。」
椅子を見て、大熊が怒鳴(どな)りました。「誰か、俺の椅子に座ったな。」中熊も言いました。
「誰か、私の椅子に座ったの」ちび熊もいいました。「僕の椅子が壊(こわ)れてる。」
そこで三匹は、二階(にかい)に上がって見ました。また、大熊が叫びました。「誰か、俺(おれ)のベッドに寝たな。」中熊も大声(おおごえ)で言いました。「嫌(いや)だわ。誰か、私のベッドに入ったんだわ。」
ちび熊も、可愛(かわい)い声で言いました。「誰か、僕のベッドに寝ている。」
女の子は、熊たちの声で目を覚ましました。見ると、寝ているベッドの傍(そば)に、三匹の熊が並(なら)んで、自分の方を睨(にら)んでいます。「いけない。」女の子は、慌(あわ)てて窓から跳(と)び下(お)りました。
さて、二階から跳(と)び下(お)りた女の子が、無事(ぶじ)森の中に逃(に)げられたかどうかは、誰も分かりません。だって、熊たちはそれからあの女の子を見なかったからです。
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