ライオンと鼠
(イソップ寓話)
野原でライオンが気持ちよく昼(ひる)寝(ね)をしていました。すると、いきなり、一匹の鼠がライオンの体をかけ上がりました。「うるさいぞ、ちびめ。」ライオンは目を開けると、あっという間(ま)に、太い前足(まえあし)で鼠を押さえつけました。「気持ちよく昼寝(ひるね)をしていたのに。」ライオンは不(ふ)機(き)嫌(げん)そうに言いました。「わしを起こしたばつだ。お前を食ってやる。」
すると、鼠は、「どうぞお許(ゆる)しください。」と手を合わせました。「私を食べても、お腹(なか)の足(た)しになりません。もし命を助(たす)けてくださったなら、いつかご恩返(おんがえ)しをします。」
すると、ライオンは、「わっはっはっはっは。」と笑いました。
「お前に恩返しなどできるがない。でも、その気持ちに免じて、今度だけは許してやろう。」ライオンは、そう言って鼠を放(はな)してやりました。
しばらくして、ライオンはちょっと油(ゆ)断(だん)した隙(すき)に、狩人(かりうど)に捕(つか)まってしまいました。そして、縄(なわ)で木に縛(しば)り付(つ)けられてしまったのです。「これは、困ったことになったぞ。わしは殺されてしまうのだろうか。そうでなかったら、遠くに売られてしまうかもしれないぞ。」ライオンは、悲しい声で吠(ほ)えました。
すると、いつかの鼠がやってきたのです。「ライオンさん、少しの辛(しん)抱(ぼう)ですよ。」鼠は、そう言うと、ライオンを縛(しば)っていた縄を次々と噛(か)み切(き)っていきました。ライオンの縄が、全部(ぜんぶ)切れた時、鼠は言いました。「いつか、ご恩返しをしますと言ったとき、あなたは笑いましたね。でも、どんな小さいものでも、ご恩返しができるのです。それがおわかりになりましたか。」
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