ヘンゼルとグレー
(グリム童話)
森のはずれに、貧(まず)しい樵(きこり)の夫婦がいました。夫婦には、ヘンゼルとグレーテルという二人の子供(こども)がいました。
ある年、何も食べるものがなくなった夫婦は、二人の子供を森の奥に捨(す)てることにしたのです。子供たちは、その相(そう)談(だん)をこっそり聞いてしまいました。「大丈夫だよ。僕が何とかするから。」兄のヘンゼルはそう言うと、小石をたくさん拾いました。
次の朝、夫婦は子供を深い森に連れて行きました。ヘンゼルは小石を道に落としていきました。きこりの夫婦は、二人を森に置いたままこっそり家に帰ってしまいました。
でも、大丈夫。二人は小石を目(め)印(じるし)に、家に辿(たど)り着(つ)いたのです。
しばらくして、ヘンゼルとグレーテルは、今度は森の一番深いところに捨てられることになりました。ヘンゼルは、今度はもらったパンを少しずつ落としていきました。
月が出た時、二人は家に戻ろうと思いました。ところが、鳥たちがパンを全部食べてしまっているのです。ヘンゼルは、「きっと道は見つかるよ。」とグレーテルを励(はげ)ましました。
でも、帰り道は分かりません。二人は、三日も森の中を歩き続けました。
そして二人は、森の奥で、パンやお菓子(かし)で出来た家を見つけました。「これはすごいや。」
二人は、夢中になって、パンやお菓子を食べました。すると、家の中から、「人の家を食うのは誰だ。」というしわがれた声が聞こえました。
家の中から、とても年を取った、おばあさんが出てきました。「何だ、子どもかい。さあ、家の中にお入り。」おばあさんは、やさしい声で言いました。そして、たくさんご馳(ち)走(そう)を出してくれました。
でも、このおばあさんは、子供を食べる魔女(まじょ)だったのです。
次の日、魔女は頑(がん)丈(じょう)な小屋にヘンゼルを閉じ込めました。ヘンゼルを太らせてから、食べようというのです。それから、グレーテルに、「水を汲(く)んできて、兄貴(あにき)のために料理を作れ。」と、命令しました。
一ヶ月の間、ヘンゼルは毎日、たくさんのご馳走を食べさせられました。
魔女は、ヘンゼルの所に行って、言いました。「どれぐらい太ったか、指を出して見な。」
ヘンゼルは、食べかすの鳥の骨を出して、魔女に触(さわ)らせました。魔女は、とても目が悪かったからです。「もう我慢(がまん)できない。どんなにやせていても、あいつを食ってやる。」
魔女は、まずパンを焼こうと、大きなかまどに火を入れました。
そして、グレーテルに、「かまどを覗(のぞ)いてごらん。」と言ったのです。魔女は、グレーテルをかまどで焼こうとしたのです。そこで、グレーテルは聞きました。「どうやって覗くの?」「馬鹿(ばか)だねえ。こうするのだ。」魔女が、かまどの中に入ったとたん、グレーテルはかまどのふたを閉じました。魔女の、すごい叫び声を聞きながら、グレーテルはヘンゼルが閉じ込められている小屋(こや)に走りました。「魔女は死んだわ。」ヘンゼルとグレーテルは、抱(だ)き合(あ)って喜びました。
魔女の家には、たくさんの宝石(ほうせき)がありました。二人は、ポケットいっぱい宝石を入れると、森を抜けて、無事(ぶじ)、家に帰ることができました。
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