李 :じゃ、試してみるわ。
販売員:では、そのころ、もう一度伺わせていただきます。
常套表現と解説
? お客様
? 奥様?ご主人様?お嬢様
(3)取引先の呼び方
<会社の呼び方>
李 :こちらは小社が開発した新製品ですが、いかがでございましょうか。
取引先:そうですねえ。製品としては申し分ないのですが、当社は長年○○社さんと取り引きしております関係上、すぐに仕入先を貴社にかえるというわけにもいきませんで、???。
李 :そこを何とかご検討いただけないでしょうか。
<取引先の人のの呼び方>
李 :営業一課の鈴木さんに、○○社の李が来たとお伝えいただけませんか。
受付嬢:かしこまりました。少々お待ちください。
常套表現と解説
? 御社?貴社?○○社さん?○○銀行さん
? △△社長?○○部の△△部長(課長?係長)
○○課△△さま?○○課△△さん
? 弊社?小社?当社
お店に来てくれたお客に対しては「お客様」が一番よく使われます。取引先とのフォーマルな会話では、取引相手の会社には、敬意を込めた?の呼び方、自分の会社のことは?を使います。まちがっても「うちの会社」「うちの社長」などと言ったりしないでください。
2、 あいづち
(1) 同僚との会話で
李 :あのさ、ちょっと君に相談したいことがあるんだ。
同僚?:うん、いいわよ。何。
李 :今月の給料日まで、二万円ほど貸してもらえない。
同僚?:二万円?それで、なんに使うの?
李 :うっかり定期券を落としちゃってね。新しく買わなくちゃなんないんだ。
同僚?:そうだったの。わかったわ。
(2)上司との会話で
課長?:たった今、部長から大至急、この商品の販売計画を練ってほしいと言われてね。
李 :そうですか。
課長?:それで、君を中心にアイディアをまとめてほしいんだが、やってもらえないか。
李 :はい、承知しました。
課長?:女性の意見も聞いた方がいいよ。
李 ?:そうですね。そうします。
常套表現と解説
? はい
▼ええ
▼うん
? そうですね
▼そうね/そうだね
? そうですか
▼そう
▼そうか
? なるほど
? それで
親しい友だちとのフレンドリーな会話では▼印の相づちが多く使われます。逆に言えば、上司や取引先との会話で使えないのが▼印ということになります。例えば、「ええ」は同意や依頼に対する承諾を表す相づちですが、親しい人との会話で使われる相づちで、上司やお客に対して使うと失礼になりますから、上司や顧客に対しては「はい」を使いましょう。
?の「そうですね」は広く同意?同感の気持ちを表しますが、自分自身も「当然そうすべきだ」という気持ちを持っている場合に使います。
?の「そうですか」は語尾を下げて言うと相づちとなります。相手から今まで自分が知らなかった新情報を知らされたり、事情を知って納得したりした時に使われますが、この「そうですか」は語尾を上げて言えば疑問になりますし、疑いの気持ちや失望の感情も表したりもします。イントネーションによって意味が変わるので、なかなか難しいのが「そうですか」です。
(3) 取引先との商談の中で
<取引先との商談>
李 :当社といたしましては、貴社の製品については強い関心をもっておりまして。
取引先:と、おっしゃいますと?
李 :商品化の暁には、ぜひ販売を当社にやらせていただけないかと、???。
取引先:それはもう、願ってもないことでございます。
<取引先との商談>
李 :今回の契約について、もう少しお時間をいただけないかと、???。
取引先:と、おっしゃいますと?
李 :実は役員会での調整が遅れておりまして、???。
取引先:なるほど、そういうわけでしたら、いたしかたございません。李さんのお立場はお察しいたしますが、当社としては一日も早く正式の契約を望んでおりまして、当社の希望も、ぜひ上司の方々にお伝えいただきたいのですが、???。
李 :はい、確かに申し伝えておきます。そちら様にはご迷惑をおかけいたしまして、誠に申し訳ございません。
常套表現と解説
? と、おっしゃいますと
それでどうなさいました
? なるほど
そうでございますね
さようでございますか
? 願ってもないことでございます
? お察しいたします
お客や顧客との会話では最上級の敬語&丁寧な表現が使われます。特に取引先に負担や迷惑を掛ける場合はなおさらそうなるでしょう。なお、この「と、おっしゃいますと」は実に用途の広い聞き返しの表現で、「どうしてですか」という理由の聞き返しにもなりますし、相手の話に興味があることを示して、話に弾みをつけるときにも使われます。
3、 丁寧語はビジネス会話の基本
「お得意さまからのご注文」のような「お」や「ご」、「そうです→さようでございます」の「さよう」や「ございます」などを丁寧語といいます。丁寧語は敬語と違って相手への敬意を表すものではありませんが、言葉全体の印象を柔らかくし、会話全体をソフトにしますから、ビジネス会話では基本中の基本です。以下、「お(ご)」言葉以外によく使われる丁寧語を取り上げておきます。以下の章に進む前に、最優先で覚えましょう。
普通
丁寧
こっち
こちら
そっち
そちら
あっち
あちら
どっち
どちら
だれ
どなたさま
どこ
どちら
いくら
いかほど
ちょっと
少々[しょうしょう]
ほんとうに
誠[まこと]に
すぐ
早急[さっきゅう]に
わたし
わたくし
あなた
そちらさま
みんな
みなさま
ご主人
ご主人さま
奥[おく]さん
奥[おく]さま
手紙[てがみ]
お手紙[てがみ]
今度[こんど]
この度[このたび]
このあいだ
先日[せんじつ]
いま
ただいま
これから
これより
さっき
さきほど
ゆうべ
昨夜[さくや]
おととし
一昨年[いっさくねん]
去年[きょねん]
昨年[さくねん]
おととい
一昨日[いっさくじつ]
あさって
明後日[みょうごにち]
昨日[きのう]
昨日[さくじつ]
明日[あした]
明日[みょうにち]
今日[きょう]
本日[ほんじつ]
さようなら
失礼[しつれい]します
すみません
申[もう]しわけありません
すみませんが
恐れ入りますが
です
でございます
ですか
でございましょうか
そうです
さようでございます
いいです
けっこうです
いいですか
よろしいでしょうか
どうですか
いかがでございましょうか
あります
ございます
ありません
ございません
できません
いたしかねます
わかりました
かしこまりました
来てください
お越しいただけませんでしょうか
ご足労願えませんでしょうか
聞いています
承っております
伝えます
申し伝えておきます
第3章 指示と依頼
ここでは上司から部下への指示、あなたから同僚や後輩への依頼の仕方、そのときの受け方、断り方を取り上げます。これらは会社の中では基本会話に属しますが、相手の地位?年齢によって使い分けが生じるので、日本語学習者にとってはやっかいなものです。
1、 部下への指示の仕方
(1) 部下の作業を急がせる
<男性上司から部下へ>
課長?:李君、これ、大至急お願いしたいんだが、???。
李 :コピーですね。はい、承知しました。
課長?:十時までにできるかな。
李 :はい、2、30分でできると思います。
課長?:じゃ、よろしく。
<女性上司から部下へ>
課長?:李さん、忙しいところを申し訳ないんだけど。
李 :はい、何でしょうか。
課長?:このコピー、十時までにしてもらえない?
李 :はい、かしこまりました。
課長?:じゃ、お願い。
(2) 部下に仕事を頼む
<男性上司から部下へ>
課長?:李君、実は君にやってもらいたい仕事があるんだが、???。
李 :はい、何でしょうか。
課長?:今度の新商品の販売企画を君に任せたいと思っているんだ。どうかな。
李 :はい、喜んでやらせていただきます。
課長?:じゃ、この件は君に任せるから、よろしく頼む。
<女性上司から部下へ>
課長?:李さん、実はあなたにやってもらいたい仕事があるんだけど。
李 :はい、何でしょうか。
課長?:今度の新商品の販売企画をあなたに任せたいと思っているんだけど、どう?
李 :そんな大役、私に務まるでしょうか。
課長?:あなたを見込んで、私が頼むのよ。私もできるだけ協力するし、何があっても私が責任をとるから。
李 :そこまでおっしゃっていただけるのなら、難しいとは思いますが、私なりに全力を尽くします。
課長?:よろしく頼むわね。
常套表現と解説
? 忙しいところを申し訳ないんだけど
これ、大至急お願いしたいんだけど
申し訳ないけど、ちょっと手を貸してもらえ
る?
? ~て‐ください/もらえませんか
▼ ~て‐くれ/くれない?/もらえない?
? ~て‐ほしいんですが/もらいたいんですが
▼ ~て‐ほしいんだけど/もらいたいんだけど
? 承知しました/かしこまりました
はい、喜んでやらせていただきます
? そのような大役が私に務まるでしょうか
難しいとは思いますが、私なりに全力を尽くします
? この件は君に任せるから、よろしく頼む
何があっても、私が責任をとる
私もできるだけ協力するから、ぜひ、がんばってくれ
「~しろ」「~なさい」などの命令の形は、日常生活では家庭の中で親が子供を、教師が学生を叱るときに使うぐらいで、皆さんが社内やビジネスの場で使う機会はほとんどないでしょう。現在では社内で上司が部下に指示するときにも、先ず、?のような前置きと言って、それから依頼や希望の形を使って指示するのが普通です。業務指示の場合、男性上司は「~てくれ」「~てほしい/~てもらいたい」などの▼印の表現を使い、女性上司であれば、「~てくれない?/~てもらえない?」のようにもう少し柔らかい表現を使うことが多いでしょう。なお、▲印はお客や知らない人など、遠慮がいる相手に使う表現で、ビジネス会話ではお客や取引先の人に何かを依頼するときの表現になります。
さて、上司方の指示があったとき、親しい上司であれば「はい、わかりました」でもいいのですが、?のように「はい、承知しました/はい、かしこまりました」と応えるのが会社内であれば基本で、その方が上司から好感を持たれるでしょう。
しかし、困難が予想される指示に対しては、?のように「そのような大役が私に務まるでしょうか」と少し予防線を張って、上司からの「何があっても私が責任をとる」とか、「私もできるだけ協力するから」という言葉を待って、「難しいとは思いますが、私なりに全力を尽くします」と答えるのが賢明です。つまり、そうしておけば、うまくいかなかったときも上司との共同責任になりますし、これはビジネスマンとしての知恵です。
(3) 同僚や後輩への依頼
<先輩への依頼>
李 :先輩、ちょっとお願いがあるんですが。
先輩?:何?
李 :このコピー、僕が課長から頼まれたんですが、すぐ取引先まで出かけなくちゃならない急な用事が入って、それで、申し訳ないんですが、僕の代わりにこのコピーしていただくわけにはいかないでしょうか。
先輩?:うん、いいよ。で、いつまで?
李 :部長からは10時までにとのことでした。
同僚?:うん、わかった。できたら、課長に届ければいいんだね。
李 :はい、では、よろしくお願いします。
<同僚への依頼>
李 :Aさん、ちょっと、お願いがあるんだけど。
同僚?:うん、何?
李 :このコピー、僕が課長から頼まれたんだけど、すぐ取引先まで出かけなくちゃならない急な用事が入ったんだ。それで、悪いんだけど、僕の代わりにこのコピしてもらえない?
同僚?:うん、いいわよ。で、いつまで?
李 :部長からは10時までにと言われているんだ。
同僚?:うん、わかった。できたら、課長に届ければいいのね。
李 :うん、じゃ、よろしく。
<後輩への依頼>
李 :A君、悪いんだけど、ちょっと手を貸してもらえる?
後輩?:先輩、なんですか。
李 :ちょっと、このコピー、してもらえないか。
後輩?:急ぎですか。
李 :うん、大至急お願いしたいんだ。できたら、すぐ僕のところに持ってきて。
後輩?:わかりました。
李 :じゃ、よろしく。
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