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日语童话故事精选:制作草鞋的穷神

作者:来源  来源:日语学习网   更新:2015-8-28 8:53:37  点击:  切换到繁體中文

 

むかしむかし、藤兵衛(ふじへいえい)という、お百姓(ひゃくしょう)がすんでいました。


この藤兵衛どん、働いても働いてもくらしはらくにならずに、ふえるのは子どもばかりです。


そのうち、とうとう働く気もなくなってしまいました。


ある年の冬、藤兵衛どんの家では、子どもたちに食べさせるものが、なにもありません。


「おっかあ、はらへったよう」


「おらもだ、かゆはねえだか」


「はらへって、ねむれねえだ」


子どもたちに口々にねだられても、藤兵衛どんにはどうすることもできません。


「みんな、よく聞いてくれ」


藤兵衛どんは、子どもたちをあつめて、悲しそうな顔でこんなことをいいました。


「いままで苦労して、いっしょうけんめい働いてきたが、くらしはいっこうにらくにならん。この冬がこせるかどうかもわからん。そこで、おっかあとも相談したんじゃが、この土地をすててどこかよそにいってくらすことに決めたんじゃ」


「それじゃ、おっとう、夜逃げか?」


「ま、そういうことじゃな、すまねえな。いま出ていくと人目につくで、明日の朝早うに出でいこうと思っとる」


その夜、藤兵衛一家は、なべやかまをふろしきにつつむと、まくらもとにおいてねました。


ところが、夜中に便所にいこうとした藤兵衛は、なやでなにかゴソゴソとやっている、見知らぬ男に気がつきました。


「おまえはだれじゃ?」


「おや、まだ起きとったかね? わしゃ、貧乏神(びんぼうがみ)じゃ」


「び、貧乏神じゃと?」


「そうじゃあ、長いことこの家にいさせてもろうた」


「そ、それで、こんなところでなにをなさっている?」


「この家の者が、明日の朝早くに、ここからにげだすっちゅうんで、わしもいっしょに出かけようと思ってのう。ほんで、こうしてわらじをあんどったんじゃあ」


と、貧乏神は、あみかけのわらじを見せました。


「それじゃ、この家から出ていくというのか?」


「そうじゃあ。またつぎのところでも、仲良うしてくだっせえ」


「なんじゃあ、それじゃあ、わしらについてくるちゅうだか?」


「そういうことじゃ」


藤兵衛は、あわてて家にかけもどると、かみさんを起こしました。


「た、たいへんじゃあ。起きろ!」


夜中にたたき起こされたおかみさん。ねむい目をこすりながら。


「どうしたね、なにをねぼけておる」


「び、貧乏神じゃ。う、うちのなやに貧乏神がおる」


「貧乏神が? それでうちは、いつになってもくらしむきがようならんかったんか」


「うん、うん。そうじゃな」


「でも、いいでねえか。おらたちはこの家を出ていくんだから。貧乏神さまだけのこってもらえば、おらたちはこれかららくになるでねえか」


「それがちがうんじゃ! わしらについてくるっちゅうだ!」


「えっー! ほんなら、おらたち夜にげしても、なんもならんでねえか」


「そういうことじゃなあ」


二人はガッカリです。


家を出ていく元気もなくなってしまいました。


そして、夜が明けました。


貧乏神はこしにわらじをつけ、出発の用意をして藤兵衛どんたちを待っていましたが、いつになっても出てきません。


「おそいなあ。もう、日ものぼるというのに、どうしたんかいなあ。たしかに、けさ、にげだすちゅうことじゃったが。もしや、あすじゃったかのう? まあ、ええわい。わらじはよけいあるほうがええわ」


貧乏神は、またなやに入って、せっせとわらじをあみだしました。


一日がすぎて、一日、また一日と、日がたちましたが、藤兵衛どんは、いっこうに家を出ていくようすがありません。


貧乏神は、毎日わらじをあみつづけていましたが、そのうちに、わらじ作りがおもしろくなってきて、いつのまにやら、のきさきには、わらじがドッサリとたまってしまいました。


こうなると、人目につきます。


そのうち、わらじをわけてくれと、村の人がくるようになりました。


貧乏神は気前よく、


「さあ、どれでもすきなのを持っていきなされ」


「すまんのう。ありがとよ」


「ありがたいこっちゃあ」


村の人はつぎつぎにやってきて、大よろこびでわらじを持って帰ります。


それを見ていた藤兵衛どんは、いいことを思いつきました。


「おお、そうじゃ。あのわらじを売ればいいんじゃ」


さっそく藤兵衛どんは、貧乏神のあんだわらじを持って、村へ町へと売り歩きます。


「さあ、安いよ、安いよ。じょうぶなわらじだよ」


わらじは、どこへいってもとぶように売れ、たちまちなくなってしまいました。


だけど、くらしむきはすこしもよくなりません。


「やっぱり貧乏神がいては、貧乏からぬけだせんなあ。こうなったら、貧乏神さまに出ていってもらうだ」


そこで藤兵衛どんは、わらじを売ったのこりの金で、ありったけの酒やごちそうを用意して、貧乏神をもてなしました。


「貧乏神さま、きょうはゆっくりやすんでくだされ。さあ、えんりょのう食べて、飲んでくだされ」


「これはこれは、たいへんなごちそうじゃなあ」


「貧乏神さまには、いつも苦労してもろうておるで」


おかみさんも、貧乏神におしゃくをしながらいいました。


「そうじゃ、わらじをあんでくださるで、このごろはたいそうくらしもらくになったでなあ」


「さあ、きょうはいっしょにいわってくだされ」


「そうかそうか。それじゃ、よろこんでいただくとしようか」


貧乏神はすすめられるままに、食べたり飲んだり。


「いや~、すっかりごちそうになってしもうて。だけど、こげんくらしむきがよくなっては、わしゃもう、この家にはおれん」


貧乏神は、そういうと家から出ていきました。


二人は顔を見合わせて、大よろこびです。


「出ていった。出ていったぞ! わしらも、これでやっとらくになれるぞ」


「よかった、よかった」


こうして、藤兵衛どんとおかみさんは、安心してグッスリねむりました。


ところが、いつものように夜中に便所にいった藤兵衛どんはビックリ。


出ていったはずの貧乏神が、いるのです。


「ま、まだ、いたのか!」


貧乏神は藤兵衛どんを見てニッコリ。


「ここが一番、すみやすいのでな」


しつこい貧乏神に、藤兵衛どんはすっかり力をなくして、その場にへたりこんでしまいました。


それからも貧乏神は、藤兵衛どんの家でわらじ作りにせいを出しいるということです。


 

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