本文: 記者 五十嵐さんは熱心に中国人留学生の世話をくださるそうですが、そのきっかけはどんなことだってでしょうか。 五十嵐 わたしの店の近くに、中国人留学生のための船橋寮というのがありましてね、その留学生たちが野菜を買いに店へくるようになったのが始まりでした。 記者 彼らに値切られてアタマへきたとか… 五十嵐 そうなんですよ。一束五十円ホウレンソを二十円も三十円を負けろ、と言うんです。わたしは商人で金もうけが大好きですからね、イヤだなと思いましたよ。それで彼らがやってくるのを見ると、五十円の値札を八十円につけ変えて「まあいいや、五十円に負けとこう」。すると、「五十嵐さんがこんなにまけてくれた!」とみんなに実にうれしそうな顔をするんですね。そんなことを四、五日やってるうちに、わたしも気がとがめてきました。こんなにわたしを信用してくれる人間がこの世の中にいたのか。それをだましていいものだろうか。信用してくれるを手玉にとるようなまねはもう一切やめようと思った。それ以後はもうけを少なくして、本当に安く売るようにしたもんだから、うちの店に買いにくる留学生がだんだん多くなり、親しいくなっていった、というわけです。 記者 八五年に五十嵐さんのことを映画にした「北京の西瓜」という作品が公開されましたね。大林宣彦の監督で。あの映画は「人民中国」で五十嵐さんのことを紹介した記事から生まれたものとか。 五十嵐 そうなんですよ。たまたま大林さんの一行が中国からの帰りの飛行機で「人民中国」をめくっていて見つけたんだそうです。 記者 あの映画にはとても感動させられました。 五十嵐 映画に出ていましたが、私は始めて寮の忘年会に招かれたとき、みなさんから、「ニイハオ、ニイハオ」と熱烈に観迎していただきました。テーブルの上には、私の店の野菜を材料にした料理がたくさん並んでいます。ギョーザやら、炒めものやら、どれもこれも実にうまかった。 記者 お宅でもよくパーティーを開いて留学生をよんでくださるそうですが… 五十嵐 月に一回やってます。三十人ぐらい招いてね。この十年でうちのパーティーに出た留学生はおよそ四千人になります。 記者 それじゃあ、お金がたいへんでしょう。 五十嵐 狭いところだし、たいしたご馳走はしません。私の方でビールやギョーザ、料理の材料をどっさり置いておいて、つくるのは留学生。その方はたのしんで ですよ。 記者 映画「北京の西瓜」に、五十嵐さんが成田空港で「林正忠様の愛人様観迎」と書いたぷラカードをかかげてまっている場面がありましたが、あれはほんとうのことですか。 五十嵐 そうですよ。留学生やその家族を成田空港へ送り迎えするのも、私の重要な仕事になっています。その日、林正忠さんという留学生から「妻が日本に来るのだけれども、荷物が多いので、出迎えに行ってももらえないか」と頼まれました。彼は学校から直接空港へ行き、林さんはまだ来ていません。しかたなく私はいつもワゴン車に置いてあるプラカードに「林正忠様の愛人様観迎」と書き、それをかかげてロビーで待っていました。中国では「愛人」は配偶者のことだが、日本ではまるで意味がちがうでしょう。まわりからニャニャ笑われてしまって、あれは閉口した。 記者 成田空港へ行くとき、お店の方は? 五十嵐 平均して月に四、五回行ってますが、まず一日仕事ですからね。女房にやってもらうしかない。 記者 奥さんもたいへんですね。 最初はよく夫婦ゲンカやりましたね。「おれのやってることは正しい。だからおれについてこい。女のくせに、文句があるなら出て行け」なんてなったこともありました。今は喜んでいっしょうに留学生の面倒を見ています。 記者 私に言わせれば、五十嵐さんはまさに「日本の雷鋒」ですね。 五十嵐 何回も中国の人からそう言われましたよ。私のそんな人知らないんで、「雷」という字を見て、「エッ?なんでおれが雷おやじなんだ」首をひねりましたが。 記者 留学生のことで商売がおろそかになって借金がたまったため、とうとう家を競売にかけられる破目になったそうですが… 五十嵐 私はもともと福島から集団で上京してきた人間でね、いろいろやったあげく、八百屋商売があたって、けっこう順調だったですが、留学生に入れあげて、すっかり落ち目になった。理由が理由だけに、後悔はしませんでしたが、さすがに参りますた。日本の「読売新聞」に「日本のお父さん映画化—八百屋はピンチ、それでも意気盛ん」という記事が多く載りました。まもなく、留学生たちが「五十嵐さん緊急援助会」というのをつくり、千円、二千円と出しあって百十六万円の小切手を渡してけれました。借金の額はとてもそんなものじゃなかったですが、留学生たちがせっせとかせいだ金ですからね、涙が出るほどうれしかった。 記者 中国からいろいろあったそうですね。 五十嵐 ええ、北京、上海、天津、南京、そんな大都会ばかりでなく、湖南、福建、江西からも手紙を送金があるました。中国からも援助の手をさしのべてもらえるんて、考えもしませんでした。 記者 今度、含願の「中国留学生後援協会」が発足したそうですが、おめでとうございますと言うべきか、ご苦労さま言うべきか… 五十嵐 一人の力ではどしても限度があります。協会ができて力強輪となれば、もっと多くの留学生の面倒を見ることができます。 記者 私も留学生のOBとして、心から感謝いたします。 ファンクション用語(功能用语): 色 A 大学の友だちにネクタイをプレゼントしたいんですから、どんな色がいいでしょうか。 B 大学の友だちにですから。少し色の濃いものがいいでしょう。 A そうですね。色の濃い方がいいかも知れなせんね。 参考 赤(レッド) 黄色(イエロー)青(ブルー)白(ホワイト) 緑(グリーン) 黒(ブラック) 金色(ゴールド)銀色(シルバー) 桃色(ピンク) 灰色(グレー) 茶色 オレンジ色 紫色 |
《新编日语》第四册课文详解第16课
文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语