本文:
(一)
(留守番電話の例。Aは男性であるが、女性でもほとんど変わらない。)
A :もしもし、山下さんですか。川上ですが。
テープ:山下でございます。ただいま留守でございます。恐れ入りますが、ピーという信号音が聞こえたら、ご用件をお話しください。テープは一分間ですから、一分以内にお願いします。
A :これは留守番電話だな。
テープ:ピー。
A :えーと、あのう、もしもし川上ですが……。
テープ:……。
A :今度の仕事のことなんですけどね。この間、十五日で結構ですと言ったんですが……。
テープ:……。
A :ちょっと都合が悪くなりましたので……。
テープ:……。
A :すみませんが、十八日か二十日にしてくださいませんか。
テープ:……。
A :できれば二十日のほうがいいんですが……。
テープ:……。
A :あ、返事はないんだった。あのね、それから、田中さんに連絡したら、家の人の話では、いまヨーロッパ旅行中なんだって……。
テープ:……。
A :うらやましいねえ。
テープ:……。
A :それでね、あの……。
テープ:ピー。
A :ええ?ひどいなあ。
(二)
(夫と妻の会話)
妻:ねえ、うちも留守番電話にしましょうよ。
夫:どうして。
妻:うち、共働きだから、昼は留守が多いでしょ?
夫:うん。
妻:友達が、「お宅はいつも留守ね」って起こるのよ。
夫:夜、電話してくださいって言ったら?
妻:でも、夜は電話がきても、出られないことが多いのよ。お風呂に入っていたりして……。
夫:うん。
妻:テレビでおもしろいドラマやってるとき、電話に出ると、話が分からなくなるし……。
夫:どうだね。
妻:だから、留守番電話がいいと思うけど。
夫:でも、人に電話したとき、録音テープの声が聞こえるのは、いやだな。
妻:そう。
夫:ピーって言う音を聞いて、急いで録音するんだろう?
妻:ええ、そうよ。
夫:アナウンサーじゃないんだから、マイクに向って話すのはいやだよ。
妻:でも、うちが留守番電話にしたら、録音をするのはほかの人よ。私たちが録音するんじゃないのよ。
夫:自分がしたくないことは、ほかの人にもさせたくないよ。
妻:ああ、そう。じゃ、留守番電話止めましょう。
夫:いいの?
妻:ええ。残業を断って、早くうちに帰るわ。収入は減るけど。
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