慈母手中の線
遊子身上の衣
臨にのぞんで密密に縫う
意は恐る遅遅として帰らんことを
誰か言う寸草の心の
三春の暉に報い得んとは
この『遊子の吟』、中唐の詩人孟郊が科挙に合格し、他郷の役人になった際、年老いた母親を任地に迎えた時作ったのだそうです。詩の中、慈悲深い母親は旅立つ息子のために、自ら着物を縫ってくれて、縫い目細かく、もしやこの子の帰りが遅くなるのではないかと心配しながら...親の子を思う気持ちは、親になった人しかわからないものです。私も、母親になって初めて親の思いを理解しました。
私には、一人の娘がいます。子育てが必ずしも楽しいとは限りません。嬉しいことがあれば、悩むこともあります。本当にワクワク、ドキドキ、ハラハラの連続です。
娘が生後1ヶ月の時、夜鳴きがひどくて、夜中に眠っていると思っても、突如おお泣きを始めたことがしばしばでした。その時、抱いていれば、きっと寝てくれると思って、明け方まで娘を抱き続けました。そして、娘が4ヶ月になって、離乳食が始めました。市販の離乳食もありますが、娘のことを考えて、自分で作りました。材料を潰したり、伸ばしたり、細かく刻んだりして、小さな器に、盛り付ける。面倒な作業ですが、自分の作った料理を、喜んで食べてくれる相手がいると思うと、楽しんで作りました。
子供がこの世に訪れた時から、私の世界が変わっていき、子供のことばかり考えるようになりました。そのたび、自分の親のことを思い出しました。今まで私のことできっと一杯苦労してきたと思います。親の愛に応えられないけど、心を込めて彼らに感謝します。