蚊帳の語源・由来
蚊帳は「蚊屋」とも書くとおり、語構成は「か(蚊)」+「や(屋)」で、「蚊を防ぐ家」の意味。
漢字の「蚊帳」には「かや」のほか、「かちょう」「ぶんちょう」の読みがあり、「ぶんちょう」の「ぶん」は漢音で、漢字の「蚊」の由来にも通じる。
八世紀初頭の『藩磨国風土記』には既に「蚊屋」の文字が見られ、古くから蚊帳が用いられていたようだが、目の粗い麻・木綿などで作られた布を四隅から吊るようなものではなく、昔の蚊屋は竹を組んで布を垂らしたものであった。
蚊帳が本格的に作り始められたのは奈良時代以降で、一般に普及したのは室町以降である。
殺虫剤が普及したことで蚊帳は用いられなくなってきたが、殺虫剤は虫を殺すばかりでなく、アトピーなど人間の体にも害があることや、ベッドでも使えるタイプやテント型の蚊帳も作られるようになったことで、蚊帳の良さが見直されるようになってきている。