勿忘草の語源・由来
勿忘草は、「私を忘れないで」という意味の英語名「forget-me-not」、ドイツ語名「Vergissmeinnicht」の訳である。
ドイツの悲話に、騎士ルドルフが恋人ベルタのためにドナウ河畔に咲くこの花を摘もうとしたが、足を滑らせて水中に消え命を落とした。
その時ルドルフが言った「私を忘れないで」という言葉をベルタは一生忘れず、この花を髪に飾り続けたという伝説がある。
この伝説が「忘れな草」の語源といわれているが、花の名が先か伝説が先か定かではなく、実際はさびしげな花のイメージから名付けられ、後から伝説が作られたのではないかと考えられる。
日本では明治時代から「勿忘草(「勿」は「してはいけない」の意)」と表記し、「わすれなぐさ(忘れな草)」と呼ばれている。
植物学者の牧野富太郎は「わするなぐさ(忘るな草)」と呼ぶ方が良いと命名したが、現在は「忘れな草」の別名として呼ばれる程度となっている。
「忘るな草」が定着しなかった理由は、古来からユリ科のヤブカンゾウを「忘れ草」と呼んでいたことが影響していると思われる。