ブレーメンの音楽隊
(グリム童話)
昔(むかし)のことです。
年を取って、働(はたら)けなくなった驢馬(ろば)が、ブレーメンという所で、音楽家(おんがくか)になろうと、道(みち)を歩いていました。
しばらく行くと、やはり年おいた犬と出会(であ)いました。
犬も、驢馬といっしょに音楽家になるため、ブレーメンに行くことにしました。
また道を行くと、年取って鼠(ねずみ)を取(と)れなくなった猫(ねこ)に出会いました。
「いっしょに行こうよ。」
驢馬と犬が誘(さそ)うと、猫は、「それはいい考(かんが)えだね。」と言って、仲間(なかま)になりました。
三匹(さんびき)が歩いて行くと、今度(こんど)は年取った鶏(にわとり)に会いました。
鶏もブレーメンに行くことにしました。
四匹が森に着いたところで、日が暮(く)れました。
遠(とお)くに家の明(あか)りが見えます。
「今夜(こんや)は、あそこに泊(と)まろう。」と驢馬は言いました。
行ってみると、その家は、泥棒(どろぼう)たちの家だったのです。
泥棒たちは、夕(ゆう)ご飯を食べているところでした。
「あのご飯を取ってやろう。」
犬がそう言って、驢馬の背中(せなか)に乗りました。犬の背中に猫が乗り、最後(さいご)に猫の頭(あたま)に鶏が跳(と)び乗(の)りました。
「それっ。」と、驢馬が声をかけました。
犬が吠(ほ)えます。猫が鳴(な)きます。鶏が声を振(ふ)り絞(しぼ)り、驢馬が唸(うな)りました。
「ぎゃーっ。お化(ば)けが、出(で)たあー。」泥棒たちは、鳴き声と動物(どうぶつ)たちの影(かげ)に驚(おど)いて、森の奥に逃げていきました。
四匹は、御馳走(ごちそう)をお腹いっぱい食べました。
真夜中(まよなか)、泥棒の一人が戻(もど)ってきました。
猫が、引(ひ)っ掻(か)きます。犬が噛(か)み付(つ)きます。鶏は、泥棒の頭に乗って叫(さけ)びます。
最後に、驢馬が力いっぱい蹴飛(けと)ばします。
「やっぱりお化けがいたーっ!」泥棒は、大慌(おおあわ)てで逃げ出していきました。
泥棒は、親分(おやぶん)に報告しました。
「ものすごい魔女(まじょ)があの家に住(す)み着(つ)きました。引っ掻くは、噛み付くは、叫ぶは、蹴飛ばすはで、とても一人の魔女の仕業(しわざ)とは思えません。」
それで、泥棒たちは二度(にど)と家に近寄(ちかよ)りませんでした。
四匹は、この家で、いつまでも仲良(なかよ)く暮(く)らしたということです。
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