ジャックと豆の木
(イギリス民話)
ある日、貧(まず)しいジャックは、乳(ちち)の出なくなった牛を、市場(いちば)に売りに出かけました。
ジャックは途中(とちゅう)で、おかしな姿(すがた)のお年寄(としよ)りに出会い、お年寄りの持っていた豆と、牛を交換(こうかん)したのです。なぜって、豆を植(う)えると、天までとどくというからです。
ジャックが豆を持って帰ると、お母さんはかんかんに怒(おこ)って言いました。
「夕(ゆう)ご飯(はん)は抜(ぬ)きだよ!」そして、豆を窓から放(ほう)り投(な)げました。すると、次の朝、豆は本当に天まで蔓(つる)を伸ばしていたのです。ジャックは、さっそく蔓を登って、天に行きました。
天には大きな人食(ひとく)い鬼(おに)の家がありました。人食い鬼は、留守(るす)のようです。ジャックはこっそり家の中に入りました。すると、まもなく、どしんどしんと外からすごい音が聞こえました。鬼が戻ってきたのです。ジャックは慌てて、かまどの中に隠れました。
「うー、腹(はら)が減(へ)ったな。」鬼はそう独(ひと)り言(ごと)を言うと、ご飯を食べ、すぐに眠(ねむ)ってしまいました。ジャックは、そっとかまどから出て、金貨(きんか)の袋を一つ掴(つか)むと、家に逃げ帰りました。
ジャック親子は金貨のおかげで、楽しく暮らしました。でも、やがて、金貨もなくなったので、ジャックはまた天に登りました。
今度も人食い鬼は、朝ごはんを食べると、こっくりこっくりと居眠(いねむ)りを始めました。
ジャックはそこで、金の卵(たまご)を産(う)む鶏(にわとり)を抱(かか)えて、逃げ出しました。
ジャックは、これが最後と、もう一度天に登りました。そして、今度は金の竪琴(たてごと)を持って帰えろうとしました。ところが、竪琴が、「旦那(だんな)さま、旦那さま。」と叫んだのです。
人食い鬼はジャックを追いかけてきました。
ジャックは、すばやく家にたどり着くと、豆の蔓を切(き)り倒(たお)しました。人食い鬼は、ドシーンと地面に落ちて死んでしまいました。
ジャックは鶏と竪琴のおかげで、豊(ゆた)かに暮らしたということです。
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