北風と太陽
(イソップ寓話)
ある時、空の上で、太陽と北風が出会(であ)いました。すると、北風が太陽にこう言ったのです。「太陽さんより、私のほうが強(つよ)いですよ。」「いや、私が強いね。」太陽は笑(わら)っていいました。
そこで、二人は力比(ちからくら)べをすることにしました。
太陽が言いました。「ご覧(らん)、下の道を旅人(たびびと)が通(とお)っている。あの服を脱(ぬ)がせたほうを勝(か)ちにしよう。」「いいとも。」北風はそう返事(へんじ)をすると、いきなり冷たい風を旅人に吹き付けました。ピューピュー旅人は洋服(ようふく)をしっかり押(お)さえました。
ビュービュー北風はもっともっと強く吹き付けました。すると、旅人は洋服(ようふく)をもう一枚余計(よけい)に着たのです。「どうやら、失敗(しっぱい)らしいな。」太陽が言いました。
次は太陽の番(ばん)です。まず、暖かい光を旅人に当てました。「おや、急に暖かくなってきたぞ。」旅人は洋服を一枚脱(ぬ)ぎました。太陽は、少しずつ光を強くしていきました。
「ああ、暑い。今日は変(へん)な天気だなあ。」旅人はハンカチで額(ひたい)の汗(あせ)を拭(ふ)きました。太陽は、ますます光を強くしました。「これはたまらない。」旅人は、セーターもシャツもズボンも脱いで、そばの川にどぼんと飛び込んで、水浴(みずあ)びを始めました。
それを見て、太陽が言いました。「ねっ、無理(むり)に洋服を脱(ぬ)がせようとしてはいけないんだよ。」
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