「昭和二十二年の井伏さん」という短い一文が井上ひさしさんにある。作家の井伏鱒二がその年に井上さんの本家筋の造り酒屋にやってきた。のぞき見ると「丸顔の人がにこにこしながら盃(さかずき)を口に運んでいた」そうだ
▼お酒を傍らに、土地の文学青年らが持ち込んだ原稿にすこぶる的確な評を与えて、宵の口に別の町へ発ったという。だが、その井伏さんは真っ赤な偽者(にせもの)だった。白いご飯とお酒を目当てに「偉い先生」になりすまし、田舎に出没する者が当時は珍しくなかったらしい
▼喝酒的间隙,还对当地的文学青年带来的原稿进行了颇为详实的点评,说是趁着天还不太黑,还得再上别处去一趟。然而,就是这位井伏先生是个彻头彻尾的冒充货。为了白米饭和酒菜,装成是个“了不起的先生”,在乡间到处乱窜,这种人在当时并不少见。
▼どこか憎めない「にせ文士」と違い、警視庁などが逮捕したニセ医師(43)は深刻だ。東京や長野、神奈川の医療機関で1万人以上がこの人物の健康診断を受けたと見られる。命にかかわる見落としがなかったか心配になる
▼总觉得与这种让人恨不起来的“假文人”不同,警视厅等政府机关逮捕的假医师(43岁)问题比较严重。据推测,在东京以及长野、神奈川等地的医疗机构中约有1万多人接受过此人的健康诊断。令人倍感担忧的是不知道有没有发生过关乎性命的误诊。