「の」と「が」の交替の条件
一般に言われるように、「の」と「が」の交替が可能に見えるが、制約が
ある。次にそれについて述べる。
連体修飾句における「の」と「が」の使い分けについては、田中章夫は
「天気(の/が)いい時」という例を使って、これを「天気にあたる部分
(主格)」と「いいにあたる部分(述格)」と「時にあたる部分(被連体
格)」の部分に分け、それぞれについて、どんな場合に「の」と「が」の使
い分けが生じるかを検討している。その結果、「が」は使えるが、「の」は使
えないというパターンの多さが、第一に目に付く。そこで、田中の指摘から
始めよう。
A「天気」にあたる部分(主格?対象語(格))
1、程度?数量などを表す、副詞的な性格を持つ体言の場合
1.連日が三十度を超える猛暑
2.最高がダウ1800円に達する暴騰
3.大部分がくさっているリンゴ箱
2、副助詞などが付いて、1と同意の体言になった場合
4.先生までが参加なさる必要
5.バスをおりてからが三十分かかる村
6.10人ばかりが集まる会
3、形容動詞語幹のような、情態性の意味を表す体言の場合
7.水の不便が解消しない土地
8.仕事熱心が災いした彼の不幸
9.昔のきれいさが失われてしまった渓谷
4、不定詞や指示語である場合
10.どこかが故障している車
11.いつだったかが分からない契約
12.そこらが明らかになる解答
5、形式名詞である場合
13.ことが表だってしまう前
14.最後のが見えなくなった時
15.早く行ったほうがいい場合
B「いい」にあたる部分(述格)
1、「名詞+である」の形の場合
16.主人が弁護士である家
17.縦横が九十センチと十四センチである長方形
18.人口が500万だった東京
2、受身?使役などを含む、複雑な表現になっている場合
19.先生の人格が印象付けられる話しぶり
20.父が捺印させられた書類
21.夫が到着したであろう時刻
3、補語や連用修飾語などを伴っている場合
22.子供たちが勢いよく駆け登った石段
23.成績がかえって落ちる塾
24.道が県庁にぶつかる手前
4、接続や中止法の表現を含む場合
25.天気がよくて暖かい日曜日
26.子供が振り返りながら遠ざかっていく姿
27.警官が飛び込み、泳ぎつき、助けあげる間
C「時」にあたる部分(被修飾格)
1、副詞句を構成する体言である場合
28.電気が消えた途端
29.日本経済が成長した結果
30.市長が代わったため
2、形式名詞的なものである場合
31.生活がすさんだのは、
32.母が注意したせい
33.二人が生活できるくらいは、
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