ある国にとてもお転婆のお姫様がいました。お姫様は狩りが大好きで、毎日のように城を抜け出しては森に出かけていたのです。
「あははっ、やっぱり城の中にいるより森を走り回っているほうが楽しいわ!」
お姫様は小鹿のように軽やかな足取りで森を駆け回っていました。
そんなある日のことです。
夜になり、お姫様がそろそろお城に帰ろうと思った时、突然月が隠れて、辺りが真っ暗になってしまったのです。
「あら、大変!でもまあ、何とかなるでしょう。」
お姫様はあまり気にせず、城へ向かって歩き出しました。
っとそこへ、森の中から「メー、メー」という悲しそうな泣き声が闻こえてきました。
「どうしたのかしら。」お姫様は声のした方へ駆け出しました。
すると、そこにいたのは一匹の子山羊でした。
「メー、メー、どうしよう、大切な指轮を落としちゃったよ。こんなに暗くちゃ见つけられないよ。」子山羊は大粒の涙を零して泣いていました。
「大丈夫、私に任せなさい!」
そう言うと、お姫様は自分の冠を矢の先に括り付けて、空に向かって弓を射たのです。冠は空高く上がって行き、辺りをきらきらと照らし出しました。
すると、その光を受けて、指轮もきらりと光りました。
「探し物はこれかしら。」お姫様は指轮を拾い上げ、子山羊に手渡します。
「ああ、この指轮です!どうもありがとう!」
子山羊は何度も何度もお姫様にお礼を言って、森の向こうへ走り去りました。
「あふふっ、いいことした後は気分がいいわ!それに、あの冠もこうして见るとすごく绮丽!」
见上げた空では、お姫様の冠がきらきらと辉き続けていました。それからも、お姫様は暇を见つけては森に出かけて行きました。そして、あの时打ち上げた冠もまた、夜になるとお星様のようにきらきらと光を放ち、森のみんなの足元を照らしているのです。
お仕舞い。