黄(○○市外事事務所接待科科長)
「ノックして」:ごめんください。
田村(日本○○会社訪中代表団団長):はい、どなたでしょうか。
「ドアを開けて」ああ、黄科長でしたか。さあ、どうぞお入りください。
黄:お邪魔します。昨夜はよくお休みになりましたか。
田村:はい、少し疲れたのか、ぐっすり眠れました。
黄:この部屋はお気に召されましたか。
田村:こんな立派な部屋をとっていただいて、どうもありがとうございます。じゃ、コーヒーでも入れましょうか。
黄;どうぞおかまいなく。さっそくですが、これから、スケジュールについてご相談したいのですが。
田村:はい。じゃ、ご意見をどうぞ。
黄:代表団のみなさまのご希望もありましたので、一応スケジュールをこういうふうに組んでみました。
田村:えっと、何時に始まりますか。
黄:3時ごろでしょう。夜は7時から歓迎会があります。
田村:これはこれは。ほんとうにいろいろと、どうも恐れいります。
黄:そう言われますと、かえって水臭くなりますよ。
田村:そうですか。じゃお言葉に甘えて。
黄:明日の午前は、マイクロモーター工場、トランジスター製作所、無線電信一所などを見学していただきます。
田村:そうですね。三か所のメーカーを見学させていただくには、半日で足りますか。
黄:大丈夫です。必要なら、明後日の午前中をもそれにあてることができますから。どうぞご心配なさらないで。
田村:そらはどうも。勝手なことを申しあげて、申しわけありません。
黄:とんでもないです!せっかくおいでになったのですから、できるだけ多く各関係メーカーと接触したいとお考えになるのは当然のことです。
田村:では、明日の午後は?
黄:一応こういうふうに手配してあります。みなさまに二組分かれていただいて片方の組の方々はマイクロモーター工場と無線電信一所の責任者たちとプラントの購入について話し合いをなさいますが、もう一つのグループはトランジスター製作所とこれからの合弁方式をめぐって、お互いに意見をかわすことになっています。
田村:そうしてくだされれば何よりです。
黄:明後日の午後は市内めぐりあるいは友誼商店でのお買物にあてています。明明後日の午前は公園への見物で、午後は何も予定を入れないで、自由行動ということにいたします。以上ですが、これでよろしいでしょうか。
田村:何から何までご配慮くださいまして、もうこれで十分すぎるほど十分だと存じます。
黄:では、スケジュールについて、他に何かご要望がないようでしたら、これで失礼させていただきます。