とある車のテレビコマーシャルを見てヒヤリとなった。すると天野祐吉さんが、本紙連載の「CM天気図」でやんわりとそれを突いていた。派手によそ見をしながら運転し、あわやぶつかる寸前で自動的に止まる、という宣伝である
看到某条汽车电视广告不由地惊出一身冷汗。于是天野祐吉先生在本报连载的“CM天气图”栏目婉转地谈到了它。这是一则有关自动刹车装置的宣传,说是当你心不在焉地开着车,眼看着就要撞上时,它能够自动将车停下。
「飛び出すな、車は急に止まれない」なんていう交通安全標語は、これからは余計なお世話になるのかもしれない、と天野さんは言う。その一方で心配する。「安全性が増したことで運転がお粗末になったりすることが、ないとは言えないだろう」
“别跑!汽车可停不住!”之类的交通安全标语从今往后也许就是多余的了,天野先生如是说。可另一方面,也有令人担心的,“由于安全性的提高,并不能说就不会再有野蛮驾驶的情况发生了。”
車の安全性の向上は著しい。自動ブレーキは前方の物体を感知して、時速30キロ以下ならぶつからずに止まるそうだ。装着車は割高ながら、売れ行きはいい
汽车安全性的提高还是很显著的。据说,自动刹车装置能够感应前方的物体,如果时速在30公里以下,它就能将车停住,而不至于撞上。尽管配备此装置的汽车价格较昂贵,可销路还不错。
ブレーキが間に合わないとき、自動でハンドル回避する装置も開発途上にある。まぶたの動きなどで居眠りを検知する装置は、将来は自動で路肩に止める機能も加えるという。他にもあれこれ、至れり尽くせりの助っ人たちだ
当来不及制动时,能够自动转动方向盘规避险情的装置也正在开发之中。据说,根据眼皮的颤动等情况能够检测出是否打瞌睡的装置,将来还要增加将车自动停在路边的功能。除此之外,还有这样那样无微不至的助人亮点。
だが、世には「ジェボンズの逆説(パラドックス)」というのがある。省エネ技術が進むと逆に消費が増える、と述べる説だ。平たく言えば、低カロリーのお菓 子があると、気を許して食べ過ぎ、かえって目方が増えるという皮肉。車も、せっかくの安全技術が野放図な運転を呼ぶようでは困ってしまう
然而,世上还有一种理论叫“杰文斯(William Stanley Jevons)悖论(paradox)”,论述的是节能的发展反而刺激消费增加的理论。简单地说是一种讽刺,当出现一种低热量的点心时,由于不那么在意, 往往会因为食用过多反而增加了体重。在汽车方面也是如此,想法设法造就的安全技术反而引起了肆无忌惮的野蛮驾驶,这是最令人担忧的。
今の時代、ケータイにせよスマホにせよ運転中の誘惑は多い。プロが飛ばす旅客機でも自動操縦装置を過信した事故はままある。逆説の落とし穴は意外に広い。そう心得るのが賢明だ。
当今时代,无论是手机也好,多功能移动通信也罢,驾车时的诱惑还是很多的。即便是在由职业飞行员驾驶的客机上,由于过度相信自动操控系统而酿成的事故屡见不鲜。悖论所说的陷阱出乎意料的广泛,认真地体会个中道理才是贤明之举。