莫高窟
Bいよいよ莫高窟の番になりましたね。
Aはい。三大名窟では一番有名名のがこの莫高窟でございます。
Cあら、五階建てはありませんか。驚きましたわ。
Bいったい、幾つ石窟があるんですか。
A全部で492でございます。4世紀から14世紀まで、1000年もかかって彫られたのでございます。
Cあのう、ここの仏像は石のものではないようですね
Aまったくそのとおりでございます。竜門石窟と雲岗石窟の仏像は石を彫ってできたものでございますが、こちらのは粘土で作られています。
Cでも、粘土に見えないんですね。
A実は、中味は木造の骨みに芨芨草を包み、それに粘土を塗って形を作り、最後に、表面に色とりどりの漆をぬりました。そのため、彩塑ともいいます。
Cまあ、頭のいいこと。
A莫高窟には2200余りの塑像と45000平方メートル余りの壁画がございますが、どれもこれも国宝でございます。
B高いですね。ほら、あの仏像。
Aはい。33メートルございます。ところが、一番小さいのはけっこう小さくて、中指ぐらいしかなく、10センチぐらいのものでございます。
C飛天という壁画が多いようですね。どうも、飛天図とは、大ざっぱにいえば、天女のことのようですね。
Aはい。飛天といえば、莫高窟で一番有名なのは3320窟の盛唐の時代の飛天図でございます。さあ、そちらのほうへまいりましょう。
Bいやあ、なかなかりっぱなものですね。すべてが、蓮の池の上に浮かんでいて、釈迦如来が法を説かれ、天女たちが歌いながら舞をして、あたかも空を飛んでいるようですね。
Cこれをみれば、盛唐のことがしのばれますね。
A壁画には面白い伝説がいろいろございます。例えば、428窟の「スダー太子本生」という絵でございますが、それは愛児までも布施してしまったほど、布施を好んでいたスダー太子の話を描いたもので、そういったお話がたくさんございます。
B「蔵経洞」もあるそうですが、どちらですか。
A17窟でございます。昔は、あそこには古文書がいっぱいございましたが、後にイギリス人フランス人によってほとんど持ち出されてしまいまして、空っぽに近い有様となりました。
Cそうですか。それでは、今展示されている文物や史料などは、そのうちの極わずかなものなのですね。
B莫高窟は確かに心を奪われるほどづばらしい文化遺産ですね。面白いことには、私の友人に一人が莫高窟にきて、そのたたずまいいや、仏像や壁画に見せられて長年の喫煙さえ忘れてしまい、二三日たってみたら、なかなかやめられなかったタバコもやめてしまいたと言う話もありますよ。
Cそうですか。そんなこともあるのですねやっぱり文化遺産とは、偉いものですね。
Bこの間、竜門、雲岗、莫高窟と三つの石つくを見物して回りましたが、規模の大小や、仏像の作り方など、それぞれ違ったところがありおますけれども、たたずまいについては、同じ形式と言ってもいいようですね。
Aそうでございます。ところで、シルクロードには、あまり人に知られていないもう一つの石窟がございますが、甘肃省の张掖市のちかくにある馬蹄寺石窟で、なかなかユニークな石窟でございます。
C馬蹄寺石窟って、初耳ですわ。どんなところが見所なのですか。
A今見てきた三つの石窟はいずれにしても、岩の上に窟を彫ったりしたものでございますが、馬蹄寺に石窟の場合は切り立った崖に作られていて、その上、各石窟の入り口には軒や柱があって、赤や緑に塗られて、遠くから見ると、あたかも空中楼閣のようでございます。
Bそれも仏教関係のものなのですか。
Aはい。チベットの仏教、つまりラマ教とかかわりのある窟でございます。石窟のまえには、ラマ教の寺院もあって、ラマ僧見かけられます。
C飛天や菩薩などもあるんですか。
Aございますとも。上、中、下観音寺や千仏洞など、七つほど石窟がございますから。
Bこれから、暇を見ていってみましょうか。
C賛成しますわ。