本文:
(AとBは友人で、異なる大学の教員)
A 六〇年代になってから、東京の流入人口は増える一方ですね。
B ことわっておきますけど、私が東京に来たのはずっとその前ですよ。
A 学生の時からずっと東京にいるわけですか。もっともそういう人は多いですね。
B みんな青雲の志を抱いて東京へ、東京へと出てきたわけですよ。
A そうですね。あの傾向は今でも変わらないんじゃないですか。私の学校は、学生の大部分が地方出身なんです。
B 私のところもそうらしいんです。ま、東京には大学が多いから、学生だけでも大変な数になるでしょう。
A そして、卒業してもそのまま東京に住みつくんですね。
B そりゃ、東京など大都市のほかは就職のチャンスが多くないんですからね。東京に出れば、なんとかなるっていうのは、かなり当たっていますよ、今の日本じゃ。
A そうですね、確かに。ああ、そういえば、欧米の大都市に比べて、東京は、若者人口の比率がぐんと高いんだそうですね。
B それは、町を歩いた感じでも分かりますね。新宿とか、六本木とか、私たちみたいな中年は少ないですね。
A うん、場所によっては、私たちが入れそうな店がありませんね。みんな若者相手の店で。
B まったく、ほんとに東京は若者だらけですね。
A これじゃ、田舎には人がいなくなるでしょうね。
B じいさんばあさんだけで、村の祭りや行事もできなくなったところもあるらしいですよ。
A 確かに過疎地域が多くなってるそうですね。
B その分、東京が過密化するわけです。このごろの東京は、なんか息苦しい感じがしますね。
A うん。みんなが吐き出す炭酸ガスだけでも大変なものです。ところで、その息苦しい東京がいやだという若者が出ているそうですね。
B ああ、それ、私もなんかで読みました。Uターン現象とか、脱都会現象とかいうんでしょう。
A 私の教え子にも大学を中退して国へ帰っちゃった学生がいますよ。友達といっしょに、牧場を経営するとか言っていました。
B ほう、なるほどね。そういえば、去年も、今年も、地方に就職希望者が殺到したそうですね。
A ほんの少しにしても、都会に背を向ける若者が出てきているんですよ。なんとなく、心強い感じがしますね。
B 同感です。私も定年になったら国へ帰って塾でも開こうかな。
A いいですね、故郷があるっていうのは。
ファンクション用語(功能用语):
比例
A 三人に一人の割合で大学進学を希望していますね。
B しかし、実際の進学率は五人に一人でしょう。
A そうですね、また、三パーセントの人が成績が悪くてどこにも入れないそうですね。
B つまり百人に対して三人の割で進学できない人がいるわけですね。
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