本文:
(一)
管理人(男性)と、マンションへ引っ越してきた女性の会話
女:あのう。
男:はい。
女:ゴミはどこへ出しますか。
男:地下にゴミ捨て場がありますから、そこへ出してください。
女:いつでもいいですか。
男:生ゴミや紙なんか、燃えるゴミはいつでもいいです。
女:はい。
男:でも、必ずバケツに入れて、ふたをしてくださいよ。
女:はい。
男:ふたをしないと、猫が中のものを出して食べますから。
女:はい、分かりました。
男:燃えないゴミ、プラスチックやなんかは、水曜日に建物の裏においてください。水曜日だけですよ。
女:はい。
男:空缶とかドンとかもね。
女:ええ。あの、乾電池は?
男:乾電池?
女:前にいた町では、乾電池を捨てるポストがいくつかあったんですが。
男:さあ、この辺にはないと思いますが。
女:ゴミは細かく分けて出したほうが、処理が楽なんですね。出すほうは面倒くさいですけど。
男:まあね。
女:物が豊かになって、ゴミが増えるから、処理がたいへんなんだそうですね。
男:そうですか。
女:お中元やお歳暮の時なんか、箱や包み紙がいっぱいになってしまって困りますね。
男:困りませんね。
女:え?
男:うちはもらわないから。
女:あ、そうですか。じゃ、また。
(二)
夫と妻がレストランで食事をしながら話している。
夫:あ、そんなに残すの。
妻:うん、多いもの。
夫:そういうふうに残す人がいるから、ゴミが増えるんだよ。
妻:じゃ、ゴミにしないために、苦しくても残さないで食べなさいと言うの。
夫:ぼくはそうしている。
妻:だからふとるのよ。多い時は残さなきゃだめよ。
夫:ゴミ処理は現代文明の大問題なんだ。ゴミを出さないように努力するのが、現代人の義務だ。
妻:じゃ、言いますけど、あなたがいつも買ってくるラジオやレコードやカメラはどうなの。
夫:どうって?
妻:買ってもあまり使わないんだから、ゴミと同じよ。うちじゅうゴミだらけよ。
夫:それなら、君の洋服だって同じだよ。安いからといって買ってもほとんど着ないんだからゴミと同じじゃないか。
妻:そのうちに着るわよ。
夫:いま着ないものはゴミと同じだから、全部捨てれば、うちが広くなるよ。
妻:あなたがおもちゃを捨てれば、わたしも洋服を捨てるわ。
夫:でも、あまり捨てると、市役所がゴミ処理に困るだろうな。
妻:そうね。じゃ、捨てないことにしましょう。
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