私の父は、今年85歳になった要介護2の認知症(痴呆)である。その父の介護をしているのは、今年80歳になる母である。週2日のデイサービスを利用しているが、毎日のことでだいぶストレスがたまるようだ。
私もできる範囲内で、月2回の通院と2カ月に一度の床屋へ自動車で連れて行ったり、母の外出時に留守番に行ったりと、( ① )1年、親孝行のつもりでやってきた。しかし最近、実家から電話があると暗くなる自分がいる。本当に「介護」って大変だと思う。
他人を家に入れたくない母の気持ちを考えるとなかなか先に進まず、ついつい言い争いになる。するとそばで聞いている父が「老いては子に従え」と言う。まるで、ぼけたふりをして私たちを試しているようだ。そこで私たちも笑ってしまう。②「一番幸せなのは父かもしれない」と。
他人に力を借りて、無理せず気負わず、のんびりと③暮らしたいものである。最近母に「いざという時は土地を処分して施設に入ろう」と言っている。
時は流れているとつくづく思う。これから先の私たち夫婦のことを考えると、2人の娘たちに迷惑をかけず、家庭菜園でトマト、なす、しそ、ハーブなどを育て、お互いに尊重し合い、いつまでも仲良く心静かに暮らせるか。ただ今、親を手本に人生勉強中である。
練習問題
1、文中の( ① )に入る言葉として最も適当なものはどれか。
ここ
これ
そこ
それ
2、②「一番幸せなのは父かも知れない」とあるが、どういう意味か。
父がぼけて悩みとか、困っていることがあまり分からないから。
父が家族の人にいろいろお世話になっているから。
父が親孝行の子どもを持っているから。
父が他人に力を借りて、無理せず気負わず、のんびりと暮らしているから。
3、文中の③「暮らしたいものである」の「もの」と同じ使い方のはどれか。
ちょっと考えば分かるものを、どうして考えようとしないのだ。
女の人は女らしくするものだ。
若ころ、よくお酒を飲んだものだよ。
戦争のない平和な世界を作りたいものだ。