役不足
役不足の意味は、「与えられた役に不満を抱くこと」「軽い役目のために、実力を十分に発揮できないこと」。しかし、「この度は○○の大役を仰せつかり、大変名誉なことと思っております。私では何かと役不足ではございますが……」などと、「仕事を任せられるだけの実力がない」という意味で誤って使われることが多い.
流れに棹(さお)さす
本来の意味は「時勢?流行にうまくのること」。「このプロジェクトはうまくいってたのに、流れに棹ささないでくれよ」などと、「勢いを失わせるような行為をすること」の意で誤用されることが多い.
情けは人のためならず
「人にかけた情けは必ず自分に返ってくる」というのが本来の意味。「お金の貸し借りはしないことにしてるんだ。情けは人のためならずだからね」などと、「人に情けをかけては、相手のためにならない」と誤用されることが多い.
気が置けない
「気遣いする必要がない。遠慮しなくてもよい。打ち解けやすい」の意を表すが、「あいつはずるい男だから、気が置けない」などと、「油断ならない」という意味で間違って使われる
檄(げき)を飛ばす
「檄を飛ばす」は、「人々を大急ぎで呼び集める」というのが本来の意味。「7月の売上倍増が目標だと、部長がみんなの前で檄を飛ばした」というように、「叱咤激励する。発破をかける」の意で使う人が増え、それが定着している
浮足立つ
「浮足立つ」は、「恐れや不安などを感じて、逃げ腰になる。落ち着きがなくなる」の意で「解散の気配に、議員たちは浮足立った」などと使う。しかし「明日から夏休みなので、工藤君は浮足立っている」のように、人がうきうきした様子を指すのに、使われている場合がある
世間擦れ
「世間擦れ」は、「世の中でもまれて社会の裏表を知り、悪賢くなること」をいう。「彼女は箱入り娘だったから、いささか世間擦れしたところがある」などと、「世間離れしている」「世間知らず」の意味で間違って使われている
耳障り
「障る」には「さしつかえる。じゃまになる」という意味があるので、「耳障りだ」とは言うが「耳障りがいい」というのはおかしい。最近は、「耳触り」の意で、「耳触りがいい響き」などと使われているが、これにも違和感があるという向きも多い
すべからく~
すべからくは「須く」と書き、「学生はすべからく勉強すべし」「女性はすべからく貞淑であるべし」などと「~べし」と対で使われ、「当然」「ぜひ」の意味。語感からか、「すべて」「全部」の意で誤用される
汚名挽回(ばんかい)
「挽回」は「取り返して、もとのよい状態にすること」で、「汚名挽回」では、汚名を取り戻すという意味になってしまう。正しくは、「汚名返上」、もしくは「名誉挽回」。また、「汚名を晴らす」もよく聞かれるが、正しくは「汚名をすすぐ」で、「世間から受けた悪い評価、不名誉な評判を除きはらう」という意味。「晴らす」は恨み、憂さ、疑いのときに使う
生きざま
「生きざま」は、「死にざま」からの連想でつくられた語と思われる。「死にざま」は、「悲惨な死にざま」のように、悪い意味で使われる。同様に「生きざま」も、「壮絶な生きざま」のように、不運をはらんだ尋常ではない生き方について使われるので、「立派な先代社長の生きざまを僕も見習いたいと思っています」などと使うのは間違い
鬼の目にも涙
「無慈悲、冷酷な人間でも時には人の心情に打たれることもある」というのが本来の意味だが、「厳しい監督も優勝が決まると目を潤ませていた。まさに鬼の目にも涙だ」というように、「鬼のように厳しい男も感激の涙を流すことがある」の意で誤用される
蛙の子は蛙
本来、「凡人の子供はやはり凡人になる」という意味だが、「息子さんが医者になられたそうで。さすが『蛙の子は蛙』ですね」などと、目上の人に向かって言うケースがあるが、これは失礼にあたる
天地天命に誓って
正しくは「天地神明に誓って」。「テンチテンメイ」という語呂(ごろ)のよさから、つい言い誤ってしまうケースが多い
つつましい