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白夜行第二集日文脚本

作者:未知  来源:hjenglish.com   更新:2014-8-18 22:25:58  点击:  切换到繁體中文

 

『閉ざされた未来に』


大きな道路にかかる横断歩道の両端で信号を待つ亮司(山田孝之)は、


向い側で信号を待つ男が笹垣(武田鉄矢)だと気づく。


笹垣は微笑みを浮かべている。


険しい表情の亮司。


信号が変わり、亮司も笹垣も歩き出す。


道路の真ん中で二人がすれ違う。


だが、笹垣はまっすぐ前を見たまま、亮司の横を通り過ぎていった。


横断歩道を渡りきってから、亮司はそっと振り返り、笹垣の後姿を確認し


人ごみの中にまみれた。


そして、そんな亮司の後姿を見つめる笹垣・・・。


亮司の母親の店『やえこ』をするどい視線で見つめる笹垣。


店の戸に手をかけようとすると、弥生子(麻生祐未)が丁度出てきた。


亮司は松浦(渡部篤郎)に、笹垣とすれ違ったことを話す。


「もしかしたら戻ってきたのかもしれないし。


だからコレ当分辞めたいんだけど。」


だが松浦は、犯人はあがったも同然だと言い、分け前の3万を亮司に渡し


帰っていった。


亮司は不安気に、棚に並べた『風と共に去りぬ』を見つめ・・・。


「1991年、冬。


俺は父親を殺し、


その俺を庇う為に、雪穂は、母親を犯人に仕立て上げて、殺した。


被害者の息子と、加害者の娘になってしまった俺たちは、


事件を永遠に封じ込める為に、


会ったこともない、顔も知らない他人になる道を選んだ。


あれから、7年・・・。


雪穂は本当に一度も連絡をよこさなかったから、


いまや、俺たちは完全に他人だった。」


図書館で雪穂の指定席を見つめぼーっとする亮司。


谷口真文(余 貴美子)が持っていた本で、学校をサボった亮司の頭を軽く叩く。


「待ってたってね、もう絶対に来ないよ、あの子。


うじうじうじうじ7年間も。


向こうはね、もう忘れてんの!


いい加減わかりなさいよ、もう!」


「そんなんじゃ・・・」


「大体さ、今更会ってどうするつもりなの?


もういっぺん付き合ってくれとでも言うつもり?」


「だから・・・」


「学校に行きなさい!」


「・・・そうですよね・・・。」


「さすがに、7年経ったから・・・


雪穂がこの駅に降り立つことは、二度とないのだと、


そう思い始めていた。」


切ない表情で駅にたたずむ亮司。


その時向い側のホームを通過する急行・淀橋行きの電車。


その電車のドアにもたれ、雪穂(綾瀬はるか)は『風と共に去りぬ』を


握り締め、切なそうに駅を見つめていた。


「だけど、もし雪穂が、事件など関係ないどこかで


幸せにやっているのなら・・・」


すっかり日の落ちたホームを、亮司は諦めて後にする。


「あと8年か・・・。」


額に飾った太陽の切り絵に触れ、雪穂が呟く。


「俺は、良かったねと言ってあげる。


俺たちは、その為に他人になったのだから。」


資料室で当時の資料を読む笹垣。


「ドアの前には建築資材やブロックが積まれてて・・・」


「7年もずっと気にしていたんですか?」部下の古賀(田中幸太郎)が聞く。


「別にずっとやない。」


「スナックやえこですか?」


「ああ。おかしいやろ。


何でわざわざ亭主が殺された所で店出を出す?」


「きっと、このまま、何事も無く・・・


俺たちは、他人として生きていくのだろう。」


教室のロッカーの前で立ち尽くす雪穂。


彼女のロッカーに、『ガイチュウ』と悪戯書きされていた。


クラスメートの一人・藤村都子が不敵な笑みを浮かべている。


「よくも悪くも、何事も起らず。


な、雪穂。


こんな形で再会するなんて、俺は夢にも思わなかった。」


17歳になった亮司は、同級生の菊池(田中圭)から1枚の写真を突きつけられ


愕然とした。


その写真には、父・洋二(平田満)と幼い雪穂(福田麻由子)が写っていた。


「俺のこと覚えてるか?


おまえの親父発見してやったんだけどな、俺。」


それは、第一発見者の少年・菊池だった。


亮司と同じ学校のアキヨシと知り合いの菊池は、アキヨシの父が趣味だった


写真の中からこれを見つけたのだ。


「おまえの親父こんなビルに女の子連れ込んで奈にやってたのかな!?」


「さあ、何やってたんだろ。」


「100万!」ネガを手に菊池が言う。


「ないよ、そんな金。」


「ま、母ちゃんと相談でもしろ。」


菊池たちが立ち去ったあと、その場に座り込む亮司。


一方で雪穂は、唐沢礼子(八千草薫)に引き取られ私立清華女子学園に通い、


昔の暗い影などまるで感じさせないような明るい活発な娘に成長していた。


だが、学校で昔の雪穂を吹聴する怪文書が事件の記事コピーと共にばら撒かれ、


それによる嫌がらせやいじめにあっていた。


ロッカーの悪戯を拭き落とす雪穂を親友の川島江利子(大塚ちひろ)が手伝う。


「誰だろうね!こんなことするの!」


「ね。ご苦労さんだよね。」と雪穂。


「私は信じないからね、あんな手紙!」


「手紙?」


「・・・知らない?」


「手紙って?」


「・・・驚かないでね。」


江利子はそう言い、カバンの中から封筒を取り出す。


『華女子学園の唐沢雪穂は西本雪穂である』


切り取った活字がそう並べられてあり、その隣に、あの事件を伝える


新聞の切抜きが貼られていた。


「雪穂?」


「ごめん。ちょっと、びっくりしちゃって・・・。」


=図書館=


「あんたね、他にやること無いの?」谷口が亮司に声をかける。


「便りが無いのはいい便り、なんだよな、きっと。」


「だといいけどね。


殺人犯、正確には容疑者だったけど、


そういう親の子に、世間は甘くないからね。


あんたはまだ、思い出に出来る部分があるかもしれないけど、


あの子にとっては、そういう以前の問題っていうか、


触れられたくない過去でしかないっていうか。


もし私があの子だったら、やっぱり、二度とあんたに会おうとは


思わないかなー。


いい加減前向いたほうがいいよ。」


駅のホーム。


江利子に貰った手紙を、雪穂は爪を噛みながら見つめている。


各駅電車・淀橋行が到着する。


雪穂は手を握り締め、その電車を見送った。


急行電車の一番前で、爪を噛みながら景色を見つめる雪穂。


線路の分岐点。


雪穂は通過する淀橋駅に、亮司の姿を探していた。


「いない・・・。」そう呟く雪穂。


ホームで雪穂を捜すのは、亮司の日課だったのでしょうか?


そして雪穂も、そんな亮司を急行電車から見つめていた・・・。


その頃亮司は母の店を訪ねていた。


「あら息子!久しぶり。」


「なんか、変わったことはなかった?」


弥生子は笹垣と書かれたボトルを指差す。


「この間いきなり来て、しつこいったらないのよ!


何で、亭主が殺されたところに店出してんだとか。


保証金ゼロで格安だったからだって言っても


全然信じてくれなくて。ネチネチネチネチ!」


「それだけ?」


「ドア、がどうのって?


ドア、外開きに替えたんやな、とかなんとか、言ってたけど?」


「時を経て、俺は一つの失敗に気づいていた。


死体の発見を少しでも遅らせようと、


ブロックや建築資材を積んだ。


内開きのドアの前に。


その結果、ダクトしか逃げ出せないという状況を作ってしまった。


あのダクトは、大人が通れるようなものではない。


もし、笹垣がそのことに気づいていたとしたら・・・。


もし、もう一度、菊池にそのことを確認したら・・・。


もし、菊池がドアが全く開かなかったことを思い出していたら・・・。


もし、笹垣にこの写真を見せたら・・・。


疑惑の矛先は、確実に、雪穂に行く。」


あの川辺で頭を抱えて悩む亮司。


水面に月が映っている。月の花・・・。


子供の頃、雪穂と一緒に見たことを思い出す。


「俺は何としても、雪穂に借りを返さなければいけないと


思ったんだ。」


礼子と一緒にいけばなをする雪穂。


礼子がバランスが悪いとアドバイスすると、


「ダメ。


これ、昔仲良しだった友達なんだ。


今は会えないから。」


「そんな神経質にならんかて・・・。


会いたかったら会いに行ったら?」


「いつかね!」


「いつかいつか言っているうちに、一生、会えんようになったり


するもんよ。」


「大丈夫だよ。同じ流れに乗っているから。・・・多分。」


菊池の様子を伺う亮司・・・。


雪穂の学校の掲示板に、雪穂の小学校時代のアルバムの写真が


何十枚も貼り付けられる。


雪穂の顔写真に、赤いペンで丸印が付けられていた。


それを引き剥がす雪穂・・・。


鉄工所で働く菊池のロッカーから、ネガを探す亮司。


だが発見できず。


亮司は菊池の家に忍び込み、菊池の部屋を探す。


雪穂のロッカーに、西本と悪戯書きされる。


雪穂のロッカーに生ゴミが入れられ、それを頭からかぶってしまった雪穂・・・。


「雪穂・・・。」心配そうに江利子が近づく。


「ゴミ箱じゃないんだけどな・・・。」雪穂が笑顔を作って言う。


ゴミを片付けようとした雪穂は、その悪臭に気分が悪くなり、


トイレへ行こうとする。


「唐沢さん、どうしたの?」藤村が雪穂を引きとめる。


「肩貸そうか?」


雪穂はその場に座り込み、嘔吐してしまう。


生徒たちから「うわぁー。」と嫌な声が上がる。


藤村がその姿に意地悪く微笑んだ。


帰り道、江利子は雪穂に先生に言うように勧める。


「言ったってしょうがないよ。


犯人もわからないし。」


その時、「ガイチュウ!」と叫ぶ女子生徒の声。藤村だ。


その言葉が、ロッカーに書かれた文字と重なる。


藤村は、校内に入り込んだ男子生徒をホウキを振り回し追い出していた。


「あいつ、大江工業のアキヨシっていうらしいんだけど、


私たちのヤバイとことか写真撮って脅すんだって。


お金とか、体とか。


唐沢さんのも、あいつの仕業かもしれないね。


気をつけなよ。あんた、綺麗だから。」


「うん。ありがとう。」笑顔でそう答える雪穂。


「ねえ・・・犯人って、藤村さん・・・。」と江利子。


「証拠あるわけじゃないし。」


「本当だから・・・だから黙っているの?


でも、でもさ、本当だとしても、雪穂には何の罪もない話じゃないの?


出来れば知られたくないっていう気持ちはわかるよ。


でも、もうバレバレなのにしらばっくれて笑っちゃっているのって、


痛すぎるっていうか、そこまでして隠すってさ、


それこそ、名前変えて上手くやろうとしていますって、


逆に言っちゃっているようにも見えちゃうっていうか・・・。」


「そっか!」笑顔でそう答え雪穂は歩き出す。


「待って。待って雪穂。ちゃんと話そうよ。」


「何を?」笑顔で尋ねる雪穂。


「雪穂のことわかりたいんだよ。


何考えてるんだとか、どう思ってるんだとか。」


「江利子、もう、わかってるじゃない。


ずるくてみっともないんだよ、私。


じゃあね。」


雪穂は、淀橋行きの各駅電車の前で暫く迷う雪穂。


決心を固め、その電車に乗り込む。


電車が動き出す。


雪穂は、ホームで座り込み震えていた。


家に戻った雪穂は、「警察呼びますよ!」と声を荒げて電話を切る礼子に


駆け寄る。


電話が又鳴る。


「伝言見たんだけどさ、1000円でOKってほんと?」


電話を切っても、すぐにまた呼び出し音が鳴る。


雪穂はコンセントを引っこ抜いた。


「うちの電話番号、悪戯で駅とかに書かれてるんだよね、もう。」


礼子にそう言い笑ってみせる雪穂。


「雪穂!学校行こう。


どうせ、またやられとんねやろ?


施設にいた時かて、散々やられたやろ?


黙ってたかて何も変わらないことは、あんたが一番よう知っとるやろ?」


「落書き、探してくるね。」そう言い部屋を出ようとする雪穂。


「一生、そうやって逃げるの?


過去を完全に消すことなんて、出来へんのよ。


もし、消すことが出来たとしても、あんたはそれで幸せなんか?」


「大げさだな。ホントに大丈夫だから。


行ってきます。」


亮司は外に置かれたゴミ箱の中まで探すが、ネガは見つからなかった。


「俺は・・・」


菊池の家にインターホンが鳴り、亮司はその様子を伺う。


訪ねてきたのは笹垣だった!


見つからないように身体を小さく丸め息を殺す亮司。


「あの事件の時、君、こない言うてんねん。


ブロックや建築資材が積まれてて、ドアはあんまり開きませんでした。


その、あんまりというのはどの位だか覚えてへんか?」


「何で今更あんなこと・・・」


「大人になって記憶が整理されることってあると思うんだけどな。


どやろ?どやろ?どう?ん?」笑顔で菊池の返事を急かす。


「・・・全然開かなかったような気がする。」


「そうか。全然か・・・。」笹垣の表情から笑みが消える。


「ありがとう。またな。」


雪穂は清華学園前駅の男子トイレに落書きを見つける。


『24hOKよ!1000円~』


雪穂の名前と電話番号が書かれていた。


「~って・・・。」


悲しく笑う雪穂。


『もう、バレバレなのにしらばっくれて笑っちゃってるのって、


痛すぎるっていうか・・・』江利子の言葉。


『一生、そうやって逃げるの?』礼子の言葉。


『そんな人生に未来なんてあらへん。』笹垣の言葉。


「うるさい・・・。」雪穂の表情が険しくなる。


『おてんとさんの下、歩けへんようになる。』


「うるさい!!」


雪穂は持っていた雑巾を投げつけた。


あの橋から川を見つめ、銀のハサミを手に亮司が呟く。


「もう、殺すしかないよなー。


けどそんなことしたら、もう本当に会えなくなるってことだよなー。


けどそれでいいんだよなー。」


雨が降ってきた。


「何でだよ・・・。雪ちゃん・・・。」


亮司の手からハサミが落ちる。


「何で誰もいないんだ・・・。


何で俺こんな一人なんだよ・・・。」


雨に打たれながら号泣した。


各駅停車淀橋駅行きの電車から降りる雪穂。


南大江駅に駆け込む亮司。


駅のホームに駆けつけると、駅員と話す制服姿の女性がいた。


「すみません。」と駅員に謝っている。


その少女の後を追い男子トイレに行くと、少女は壁に書かれた落書きを


掃除していた。


「あの・・・。」


亮司の声に、少女が振り返る。


「あの・・・それ・・・。」


「友達が・・・悪戯されてて・・・。」


『西本雪穂』と書かれた悪戯書きを消し続ける。


「タイムマシンがあったら・・・過去に行く?未来に行く?」


亮司と視線を合わさず、質問にも答えず、彼女はただ壁を掃除し続ける。


「チャゲと飛鳥、どっちが好き?」


彼女は黙ったまま壁の掃除を続ける。


「ドブに咲く花、知ってる?」


堪えきれず、彼女が泣き出す。


「本当は、ないんだよ・・・。


でも・・・綺麗だった・・・。


すごくすごく、綺麗だった。」


そう言い顔を上げた雪穂を、亮司がしっかりと抱きしめた。


「雪ちゃん・・・会いたかった。俺・・・」


泣きながら亮司が言う。


雪穂も涙をこぼす。


「汗・・・すごいよ。」


あの時と同じセリフを雪穂は言い、亮司を抱きしめた。


亮司の部屋。


「そっか・・・。」


雪穂は菊池が亮司に渡した写真を見つめ、爪を噛む。


「なあ、俺もう自首しよっかな。


両方とも俺がやったことにしてさ。


俺が雪ちゃんち忍び込んでガス開けたことにしてさ。」


「だーめ。ハサミ、お母さんのだって言っちゃってるし。」


「・・・ごめんね・・・。


俺ずっと後悔しててさ。


あん時俺が自首してれば、雪ちゃん人殺しになんなかったし。


雪ちゃんの人生ボロボロにしたの、誰が何と言おうと、俺と・・・


俺の親父だから・・・。


幸せにしてやろうとか、そんな偉そうなこと言えないけど、


でもせめて、不幸せにしないことなら俺にも出来るんじゃないかって


思ってきてさ・・・。」


黙ったまま写真を見つめる雪穂。亮司が写真を奪い取る。


「そんなのもういいよ!


菊池も笹垣もぶっ殺してさ、俺が死ねば済む話でしょ?」


雪穂が亮司の頬を叩き突き飛ばす。


「あのさ、私の幸せって、何かと思ってるわけ?


何の為に私が別人になろうとしてきたと思ってんのよ!


西本だとばれるから、事件のこと思い出す人が増えるからでしょ!


何の為に、毎日毎日、わざわざ急行電車に乗っていると思ってるのよ!


各駅だと降りちゃうからでしょ!


あんたがかんでるから、降りたくなっちゃうからでしょ!


何言われても、何されても、ニコニコ笑って・・・


何の為に7年も他人の振りしてきたと思ってんのよ!


もう一回、あんたと歩く為に決まってるじゃない!


・・・時効がきて、そしたら、もう一回、太陽の下、


亮君と歩くんだよ。


昔見た、おじいさんとおばあさんみたいに、手をつないで。


いやー、苦労したねとか、鬼畜なことも笑いながら喋ったりとかして。


でも、あれは仕方なかったよねとか、慰めあったりして。


そんな相手・・・一人しかいないよ・・・。


亮君以外、私には、誰もいないんだよ。」


亮司の胸元を掴み、泣きながらそう訴えた雪穂は、


彼から離れ、また写真を見つめる。


亮司は涙を拭き、亮司が雪穂の前に立つ。


「7年も前の話だし、ネガさえなければ、警察としては動けないと


思うんだよね。」


「それから俺たちは、この場を何とか切り抜ける方法を考えた。」


切り絵で人の形を作り、計画を練る二人。


『F』制服姿の女


『A』カメラを構える男


『K』キャップをかぶった男


「運を天に任せるような計画だったけど・・・」


「ほんとに、出来る?」


雪穂に言われ、亮司が頷く。


雪穂の背中を見送り、亮司が別の方向へ歩き出す。


「俺たちには・・・


もう後が無かったんだ。」


亮司は、少女Fの切り絵を見つめ・・・。


藤村(F)のロッカーに手紙を忍ばせる雪穂。


菊池のロッカーから愛用のキャップが無くなる。


菊池はその直後、電話で亮司に呼び出される。


待ち合わせの映画館の前にいくと、亮司が映画『タイタニック』の


チケットを差し出す。


「ふざけてんのかよ、テメー。金は!?」


「これさ・・・実は親父の隠し子なんだよな。」


「は!?」


「もうちょっと待ってくれよ。とりあえず、今日はこれで頼むよ。」


菊池は亮司を睨みつけ、映画館へと消えていった。


「よし・・・。」


時間を確認する亮司。17時15分。


その頃、藤村はロッカーの手紙に微笑んでいた。


『6時に弁天通商の10番倉庫に・・・


はずかしいので一人で来て・・・』


「昔の友達と待ち合わせがあって。」


友達にそう言い、藤村は一人倉庫へ向う。


その様子を確認する雪穂・・・。


10番倉庫。


犯行直前、亮司は父が雪穂の写真を撮影していたことを思い出し、


立ち上がる。


午後6時。雪穂はチャペルで十字架を見つめていた。


倉庫に藤村がやって来た。


亮司は背後から忍び寄り、ビニール袋を頭に被せ拉致する。


雪穂の元へ江利子がやって来る。


「一緒に帰ろうと思ったんだけど。」


「うん。」雪穂が微笑む。


倉庫の近くを歩く二人。


「花屋さん、寄るんだっけ?」と江利子。


「うん。ごめんね、付きあわせちゃって。」


「あのさ、昨日、ごめんね。」


江利子から少しはなれ、落ちていた制服を拾い上げる雪穂。


「やだ・・・。なに?」


雪穂は倉庫へ入っていく。江利子が雪穂に続く。


脱ぎ散らかした衣服の先に、女が縛られ倒れていた。


あの、キャップと一緒に・・・。


家に駆け込んだ亮司は、部屋の隅で奮え続ける。


警察に事情聴取を受ける雪穂と江利子。


「学校の回りで変質者が出たとか、待ち伏せしている人間がいたとか、


そういうことはない?」刑事が聞く。


「とくには・・・」と江利子。


「でも、大江工業の人が、うちの学校の子、隠し撮りして脅迫してるって、


藤村さん言ってなかったっけ?」雪穂が言う。


「うん。」


「名前とか、わかる?」


「確か・・・アキ・・ヨシ。」


アキヨシ(A)を訪ねて行く警察。


「僕じゃないです!僕、写真を取って売ってただけで!」


「誰に売ってたんだ!?」


「これに、見覚えないですか?」


警察が現場に落ちていた菊池のキャップを見せる。


警察に呼ばれる菊池。


「だから5時半から7時半までは映画を見ていたんだよ!」


「じゃあ何でこれが現場に落ちてるんだよ!?」


「知るかよ!」


「一人で映画を見てるっていうのはな、アリバイにはならないんだよ!」


家に戻ってきた菊池を、亮司が待っていた。


「金、出来たんだけど・・・。」


「ネガはやる。


やるから俺のアリバイを説明してくれ。」


「なんか、あったの?」


藤村の見舞いに行く雪穂と江利子。


「毎日毎日、お見舞いありがとね。」母親が応対する。


「いえ。あの・・・犯人は、まだ?」雪穂が聞く。


だからあの、


「いきなりビニール袋被されて、気絶したんで、何も覚えてないって。


不思議なことなんだけれど、どうも身体は汚されてないみたいで。」


「警察には?」


「主人も、あの子の為にも、告訴はしない方がいいだろうって。」


「私たち、絶対誰にも言いませんから。」


「でもさ、どういう神経してるんだろうね。


こういうこと平気で出来るって、人間じゃないよね。」


帰り道、江利子がそう雪穂に言う。


「・・・ほんとだよね。」


「じゃあね。」


江利子の言葉に考え込む雪穂・・・。


菊池からもらったネガと写真を灰皿の上で燃やす亮司。


「何でこんなことばっか・・・上手くいくんだろうな・・・。」


そう呟き、床に落ちた別のネガを見つめる。


「何のことはない。


気がつくと俺は、親父と同じことをしてた。


もし、わかるやつがいるなら教えて欲しい。


どうして俺たち、生まれてきたんでしょうか。


何の為に生まれてきたんでしょうか。


こんなことばかり繰り返すためでしょうか。


何の為にこれから生きていけばいいんでしょうか。」


部屋のテーブルの上にあったものを振り払い、声を上げて泣く亮司。


亮司を思って生けた花が枯れていることに不安を覚える雪穂。


「だけど、いくら考えても答えなんか見つからなかったんだ。」


ビルの屋上に立つ亮司。


一歩一歩、端へと歩んでいく。


昇っていく朝日に、雪穂の言葉を思い出す。


「もう一回、太陽の下、亮君と歩くんだよ。


亮君の他に、私には、誰もいないんだよ。」


「見つからなかったんだ・・・。


たった一つしか。」


制服のまま布団に横になる雪穂は、亮司の涙が気になり、


亮司の家を訪ねていく。


インターホンを鳴らしても、誰も出てこない。


雪穂は亮司を探して走り出す。


少しためらった後、図書館のドアを開ける雪穂。


いつもの席に亮司はいなかった。


『風と共に去りぬ』の本を次々とめくり、4冊目で亮司からのメッセージを


見つけた。


『2006年11月11日』


白い紙にはそれだけ書かれ、少年と少女が手をつなぐ切り絵が


黒い紙で作られ貼ってあった。


「時効の日・・・。」


切り絵を見つめ泣く雪穂。


人の気配に振り返ると、亮司がいた。


「あの・・・大丈夫ですか?」そう言い手を差し伸べる。


「大丈夫。」雪穂はそう答え、亮司の手を掴んだ。


「なあ、雪穂。


俺たち、たいした希なんかなかったよな。


ただ、もう一度、歩きたかっただけなんだよな。


青い空の下を・・・。」


二人が指定席で本を読む姿を見つめる谷口。


笹垣目がけて小走りに近づいていく人物。


「刑事さん。」


「なんや?」


「桐原亮司のことで、話あんだけど。」


菊池の言葉に笹垣が笑みを浮かべる。


亮司は川辺でハサミを見つめ・・・。



 

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