何にしましょう
ある男が、[wj=バー,jc]バー[/wj]の[wj=カウンター,jc]カウンター[/wj]に座った。はじめての男だった。
「何にしましょう」と、[wj=バーテン,jc]バーテン[/wj]が尋ねた。
「[wj=ウィスキー,jc]ウィスキー[/wj]、[wj=水割り,jc]水割り[/wj]を2杯」
「お連れさまがいらっしゃるんですか」
「いや、ひとりだ」
「では、1杯目をお飲みになったら、すぐに2杯目をお作りしますよ」
「いや、同時に2杯ほしいんだ」
「それはまた、どうしてですか」
「先週、僕の親友が亡くなったんだが、彼が亡くなる前に約束してね」
「はあ」
「僕が飲みに行く時は、必ず、彼の分も注文して飲むということになったんだ。それで、その約束を実行しているってわけさ」
「それはそれは。では、2杯いっしょに、ご用意いたしましょう」
男は、それからも、ときどきそのバーに来るようになった。
そして、そのたびに、2杯ずつ注文した。
ところが、ある日、男はカウンターに座ると、こう言った。
「水割りを1杯」
「あれ、お客さん、今日は2杯じゃないんですか」
「うん、僕は、禁酒することにしたんでね( )」
(『月刊アサヒ 6月号 朝日新聞社』による)
問1 :男は水割りを2杯注文しましたが、なぜ2杯注文すると言っていますか。
1.水割りが好きだから
2.友だちが来るから
3.友だちと約束したから
4.2杯飲みたかったから
問2 :「お連れさま」というのは、本文では次のどれに近いですか。
1.奥さん
2.一緒に来る人
3.友達
4.子供
問3 :「それはまた」の「それ」は何を指していますか。
1.ひとりで来たこと
2.2杯注文したこと
3.水割りを頼んだこと
4.2杯同時にほしいと言ったこと
問4 :「それはそれは」というのは、どういう気持ちを表していますか。
1.ほんとうですか。
2.楽しそうですね。
3.それはよかったですね。
4.お気の毒に。
問5 :「僕は、禁酒することにしたんでね( )」という文の後に続く文として、次のどれが適当ですか。
1.今日は1杯でいいんだ
2.もう酒は飲まないんだ
3.今日は1杯ずつほしいんだ
4.今日も2杯同時にほしいんだ
問6 :この文章から分かることは何ですか。
1.男は、このバーの古い客である。
2.男は、亡くなった友だちとこのバーに来たことがある。
3.男は、2杯飲む時は、いつも同時に2杯注文した。
4.バーテンは、男の亡くなった友だちを知っている。