「にして」と「にしては」は違う表現ですよね~
「~にして」の多くは「~で」「~でも」「~であって」に置き換えられる状況や場面や時を強調する表現になります。また、例文(彼は政治家にして、かつ敬虔なクリスチャンでもあった。)のように「Aにして、(かつ/同時に)B」の形で、「Aでもあり(かつ/同時に)Bでもある」の意味を表します。文型として重要なのは「~でさえ~できない」に相当する「~にして~(ら)れない」と、例文(このような偉業は、私心のない彼にして、はじめて成し遂げることができたのだ。)の「~であってこそ~できる」に相当する「~にして、はじめて~(ら)れる」でしょう。この二つの文型は口語でもよく使われます。 なお、「幸いにして/不幸にして/一瞬にして/緊急にして」などは語彙として覚えた方がいいでしょう。
「~にしては」と「~わりに」は接続の形に違いがありますが、どちらも「のに」系に属する逆説表現で、「当然の<結果や予想>に反して、事実は~」という意味を表します。常に一般常識や標準を念頭に置いて、実態がそれに反することを述べる点に特徴があります。そして、ここから作られるのが、接続詞「それにしては」「そのくせに」です。