拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申しあげます。
さて、突然ではございますが、O石様より婚約解消希望の由の書簡が本日届きました。すぐに先様にお電話をいたしましたが、「性格が合わないようで……」の一点張りで、とりつくしまがございません。ご尊家にとりまして、不本意な事態と相成りまして、言葉もなく、のり子様、ご尊家様にただただおわび申しあげるだけでございます。のり子様にはどんなにお驚きかと存じますが、ご両親様からよしなにお伝えくださるようお願い申しあげます。
つきましては、私がO石様の代理といたしまして、後日結納金、結納の品をいただきに参上いたしたく存じますので、ご都合のよい日をお知らせ願えれば幸甚に存じます。
なにとぞ事情をご賢察のうえ、ご容赦賜わりたく、ここにお願い申しあげる次第でございます。
末筆ながら、ご尊家皆様のご健康とご発展をお祈り申しあげます。
敬具
仲人から相手方へ。理由ははっきり書かない。たとえば「性格が合わないようで……」など。 |