「バブル経済の影響」
ネルソン:山田さんのお父さんは今どちらでお仕事をなさっていますか。
山田:前はフロンティアというコンピューターのソフトを作る会社で仕事をしていましたが、今は三 友(みつとも)エレクトロニクスというコンピューターのハードを作る会社で働いています。
ネルソン:昔日本の会社では終身雇用制や年功序列制が確立していて定年まで同じ会社で働くのが当 り前だったと経済の授業で習いましたが、今は山田さんのお父さんのように転職をする人が多いそうですね。
山田:そうですね、でも、それには二つのゲループがあると思います。
ネルソン:二つのゲループ?
山田:ええ、父の場合は、本当は定年までフロンティアという会社で仕事をしたかったんですが、会社の経営が悪化して会社から退職を奨励されたんです。このように、中年のサラリーマンで仕方なく転職する人達が一つのゲループです。
ネルソン:じゃあ、お父さんは辞めさせられたんですか。
山田:直接辞めろとは言われませんでしたが、辞めてくれという会社の希望を父は間接的に感じたそ うです。特に「バブル経済」崩壊の後で転職しなくてはいけなかった中年の人達がこのゲループに入ると思います。
ネルソン:そうですか。
山田:それから、もう一つは若者のゲループです。家族を犠牲にして猛烈に仕事ばかりしている親を見て自分はそんな仕事だけの人生はいやだ、一生サラリーマンで終わりたくないと考え、自分の好きな仕事を変える若者がバブルの時代に多くいました。
ネルソン:でも、「バブル経済」がはじけたのは数年前ですよね。今でも、転職する若者が多いんですか。
山田:バブルの後不況に入って新卒の社員の採用を控える会社が多くなっていますから、簡単には転職できなくなっていて、バブル経済の時代と比べたら転職する若者の数は少なくなっていると思います。
ネルソン:アメリカでは転職をするのは当り前で、たいてい転職すると給料が上がりますが、日本ではどうですか。
山田:ヘッドハンターにアプローチされたエリートサラリーマンだったら給料は上がるでしょうが、会社から退職を奨励された人の場合はたいてい同じか前より下がることが多いと思います。若い人の場合は給料のもっと良い会社に転職するのが普通です。
ネルソン:ところで、去年夏に東京に行った時就職活動のために同じような服を着た女子大生をたくさん電車のなかで見ました。みんな同じような服を着るんですね。
山田:ああ、あれは「リクルート・スーツ」と言うんです。女子大生だけでなく、男子学生もスーツを着て就職活動をします。今日本は不況だから前と比べて良い会社に就職するのはずっと難しくなっています。特に、女子大生はなかなか仕事が見つけられません。私も来年リクルート・ルックで仕事を探さなくてはいけないのかと考えると頭が痛いです。
終身雇用制ー一度会社に入ったら定年まで仕事ができる制度
年功序列制ー会社で年を取れば取るほど高い地位に昇進する制度
定年ー会社を辞める時
転職ー職業を代えること
中年ー40、50代
バブル経済がはじけるーバブル経済がだめになる
新卒の社員の採用を控えるー大学を卒業した新しい社員を雇わない
就職活動ー会社に雇ってもらうためにいろいろなことをすること