約200年前の江戸で、町火消(まちびけ)しと力士とが喧嘩(けんか)になり、集団で大立ち回りを演じた。この「め組の喧嘩」では、半鐘(はんしょう)が急に打ち鳴らされて、火消し仲間が集まったとも伝えられる。
大约200年前的江户,町消防员与相扑力士发生争执,最后演变成两个集体的群殴事件。传说在这场“め(me)组消防员与相扑力士的争斗”中,曾急促地敲响火警钟来召集消防员。
「仲裁に入った奉行所が解決に窮し、火の見の半鐘を流罪にしたというのは、おそらくフィクションであろう」。演劇評論家の戸板康二さんが、この喧嘩をもとにしてできた芝居「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)」の解説(るざい)に書いていた。演劇評論家の戸板康二さんが、この喧嘩をもとにしてできた芝居「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)」の解説に書いていた。
“参与调停的奉行所无技可施,最后将望火楼的火警钟处以流放罪了事。这恐怕是杜撰的吧”。演剧评论家户板康二在以这次争斗为素材创作的戏剧《调停大行动》的解说词中这样写道。
火事でもないのに半鐘を鳴らした人間の罪は問わず、勝手に鳴りだした半鐘が悪い、として島流しにする。裁かれても物言わぬ半鐘の姿には趣もあるが、最近、北関東の茨城県や栃木県では、何十もの半鐘が鳴ることもなく姿を消したという。換金を狙った盗みとすれば、背景には銅価格の高騰があるとの見方がある。
不追究未发生火灾却擅自敲响火警钟的人的责任,却怪罪被擅自敲响的火警钟,将其流放荒岛。听到判决也默默无声的火警钟的样子也很意味深长,不过听说最近在关东地区北部的茨城县和枥木县有几十多口火警钟悄无声息地失踪了。有观点认为,若是盗卖换钱的话,其背景就在于铜价上升。
作家の井伏鱒二が、「め組の半鐘」として新聞に載った写真を切り抜いて、半鐘や梵鐘(ぼんしょう)の鋳物(いもの)工場を経営している友人に送ったことがあった(「井伏鱒二自選全集」新潮社)。鋳型(いがた)職人は「ツブシ値にすれば大体五千円」と言ったという。50年ほど前のことで、今回盗まれている半鐘は、10万から50万円ぐらいだそうだ。
作家井伏鳟二曾将刊登在报纸上的“め(me)组消防员与相扑力士的争斗”的新闻照片剪切下来寄给经营火警钟和寺院钟铸造厂的朋友(《井伏鳟二自选全集》新潮社)。据说铸型工匠说:“按废料价格回收的话大约值5千日元”。那是大约50年前的事,据说此次被盗的火警钟价值约10万日元至50万日元。
近年、街中では、火の見やぐらが周りの街並みに埋もれてしまった。半鐘も、火事を知らせる道具としては、ほぼ役目を終えている。しかし使われなくなったとしても、何か捨てがたいものがある。
近年来,城市中的望火楼淹没在周围的街道中。火警钟作为通报火灾工具,其使命基本上也结束了。可即使用不上,还是有些难以舍弃的东西。
半鐘は火の見やぐらから地域を見守り、人々は見上げつつ行き来してきた。鋳つぶせば、金には換え難いそのささやかな歴史をも、つぶすことになる。